夜尿症と漢方薬

夜尿症の相談があります。

「実はうちの子、夜尿症で困っていまして、週末のサッカーの遠征に行かないって言いだしたんです」

カゼでしょっちゅう受診しているお子さんが、突然カミングアウトすることがあります。

「そうだったの」

「何か薬はありますか?」

古典的な西洋薬から漢方薬まで選択肢はあります。

が、しかし治療に難渋することが多いです。

体質的には小建中湯(しょうけんちゅうとう)が合うお子さんが多いですが、これが合わない体質だと、あれこれ試すことになります。

緊張が強いお子さんだと柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)があります。

冷えが強いお子さんだと、人参湯(にんじんとう)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)です。

精神的に過敏、不安が強いお子さんには、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)です。

一発でオッケイとなることは多くないですが、一緒に考えて治療して行きましょう!

西洋薬と漢方薬の併用も可能です。

 

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不眠に使える漢方薬

虚弱な人には酸棗仁湯(さんそうにんとう)が一番お勧めですが、合うかどうかは飲んでみないとわかりません。

不安があって心身が疲労状態、眠りたいのに目がさえてしまう方が適応です。

入眠導入剤の併用は大丈夫です。

これが合うとなると、寝る前に1包あるいは2包だけ飲めば眠れるよ、という方がいます。

実際こういう使い方をやっている先生はおられます。

次に、帰脾湯(きひとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)です。

さらに柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)があります。

体力がある人には、抑肝散(よくかんさん)が使われることがあります。

他に、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)があります。

イライラ、カリカリしていたら、抑肝散がまず適応でしょうか。

 

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動悸に使える漢方薬

動悸があれば、まずは循環器科で精査が必要です。

内科的に問題があれば治療の対象です。

内科的に問題がなにのに動悸を感じる場合はどうしましょう?

こういうときに試したい漢方薬がいくつかあります

期外収縮の動悸には、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)を試します。

さらに、炙甘草湯(しゃかんぞうとう)を加えてみます。

1週間以上は内服してみて効果判定です。

狭心症のような痛み、動悸があれば、当帰湯(とうきとう)です。

不安やイライラを伴う動悸には、抑肝散(よくかんさん)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)です。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)を加えると、さらに効果が増します。

是非試してください。

 

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高齢のうつにどう対応するか

時代背景に伴い、高齢者のうつの相談があります。

80歳の方で、全身倦怠感、食欲不振を訴えられます。

もともと神経質で、内科で高血圧、高尿酸血症の薬を飲んでおられます。

感冒を契機に具合が悪くなり、偶然肺に胸水があることがわかりました。

総合病院で精密検査を受けましたが、悪性のものではないが、結核性の疑いがあると言われ入院を勧められました。

入院後状態は良かったのですが、意気消沈し、食欲が低下し体重も減り痩せてきました。

本人、家族の希望もあり外来通院に切り替えました。

「何とかしてくれー」と外来を受診されました。

憔悴しきった表情、痩せこけた顔、ひげが生えたまま(手入れしていない)、皮膚は乾燥している。

何もする意欲がないと。

「思慮過制して心脾を労傷し」という言葉がぴったりです。

もともと真面目な方で、深く考えすぎてしまう傾向があります。

もう一点、四肢に紫斑がありました。

こういう状況では紫斑を認めることがあるんですねー。

そこで帰脾湯(きひとう)です。

2週間の内服で紫斑がみるみるうちに消え(ビックリ)、本人さんも元気になってきました。

少しずつ食べられるようになり、体重も回復してきました。

胸水は消え、抗結核薬も内服せずに済んでいます。

帰脾湯って、こうやって使うんだなと教えてもらいました。

 

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霰粒腫、麦粒腫に漢方薬を

眼科領域で漢方薬を使う機会があります。

うちは、アレルギー性結膜炎(花粉症が多いですが)で越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)をよく使います。

眼の充血、かゆみが激しい時に頓服的に使います。

霰粒腫、麦粒腫などの急性疾患には、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)が良いかも。

苦い漢方薬ですが、熱を取る、炎症を抑えるという目的で3日から1週間飲んでみてください。

合う人は数日でスッキリします。

皮膚を見て化膿しているな、と分かれば、排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)です。

点眼薬との併用は構いません。

ただ、点眼しているだけよりも、短期間でキレイに治すことを目的に漢方薬を使います。

 

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五苓散を飲んでから葛根湯

高熱が出た患者さんです。

インフルエンザだろうと思われますが、インフルエンザの検査は陰性です。

陰性だからといって、インフルエンザではないとは言い切れません。

理解があれば、抗インフルエンザ薬を使っています。

無理に漢方薬を飲まなくても良いです。

うちは、何としてでも漢方薬だけでいくんや、という熱心(?)な患者さんが多いものですから、インフルエンザを強く疑っても漢方薬だけで治療することが多いです。

私はリレンザを吸入しているですがね(苦笑)。

高熱が出ているこの患者さん、脈:浮、項部が凝る、張っています。

いかにも葛根湯が適応です。

頭が痛いとおっしゃるので、自宅に帰ったら五苓散(ごれいさん)を1包飲んで、すぐに続けて葛根湯2包を飲むように指示しました。

3時間以内に汗をかかなければ、さらに葛根湯2包を飲むことも伝えました。

果たして、葛根湯を2日目の3包を飲んだ後から十分な発汗がありました。

以後、解熱して軽い乾性咳嗽が始まりました。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)に切り替えて外来終了です。

高熱が出るとボーッとした表情になります。

頭痛を伴うこともあります。

こういうときは五苓散です。

五苓散→葛根湯、五苓散→麻黄湯(まおうとう)(これは小児に多いですが)は有効です。

漢方でいうところの水毒(水分バランス調節が悪い)をまず解決してから、高熱に対処するのです。

インフルエンザに限らず、高熱のカゼのときに試してください。

 

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外来でのカゼ対策

インフルエンザが流行し始めてから、外来終了時には、だるい、ノドがガサガサ状態になります。

これで油断すると5年前のようにインフルエンザにかかって、しんどい思いをすることになります。

最近は外来でリレンザを吸入しつつ、葛根湯2包を飲むようにしています。

インフルエンザウイルスを吸入すると、少しだるくなって寒気がしてきます。

もうこの時点でブロックしないと、一気にウイルスが増殖します。

リレンザを吸入します(自費で購入です)、続けて葛根湯を熱いお湯で2包飲みます。

10分もたてば、カラダが暑くなってきます。

ジトッと汗をかけば終わり。

はっきりしないときは3時間後に、もう1回葛根湯を2包飲みます。

まずはこれで大丈夫です。

以前自分はへばっていて、脈が沈んでいるから麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)だろうと思って飲んでみましたが、ことごとく効きませんでした。

まさかと思いましたが、麻黄湯(まおうとう)を1包飲んだらカラダがスキッとして、カゼをブロックしました。

どうも私は葛根湯、麻黄湯の方が(飲める年齢のうちは)、合っているようです。

かかってしまったら、それはそれで仕方がありません。

なるべく短期間で軽く治るように漢方薬を駆使していきましょう。

 

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思ったよりも暖まる

40代女性です。

先日2年ぶりに来院です。

「最近寒くなってきたら冷えを強く感じるようになったので、前にもらっていた漢方薬をください」

四肢が冷え、月経時に下腹部痛がひどい時期があり当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を飲まれていた人です。

以前より冷えがきついかも、と話を伺いました。

2週間内服をして経過を聞いたら、「思っていたよりも暖まります」と。

そうなんだな、当帰芍薬散単独でも十分暖まる人は暖まる。

あまり余計なお世話をしないでおきましょう。

当帰芍薬散単独では冷える方は、さらに1つ手を加えて冷え対策をします。

例えば、ブシ末を追加するとか、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を追加するとか。

いろいろあります。

暑がりの私にはあまりわからないですが、女性は冷えないように冷えないように体調を整えていくと、機嫌が良いし、気分も良いようです。

まだまだ冷える時期ですので、冷えで困ったら漢方薬ですよ。

 

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遷延する咳嗽に柴朴湯が有効だった1例

10歳の女子です。

平成30年10月9日から乾性咳嗽が始まりました。

一旦咳が出ると止まりません。

深夜1時、2時まで咳込みが続きました。

10日近医(内科1)を受診し、気管支喘息と診断され内服薬と吸入ステロイド薬を処方されました。

同医院に計3回受診するも咳が続くため、近医(小児科)を受診しマイコプラズマと診断され抗生剤を処方されました。

2週間後も咳が続くので、近医(内科2)を受診し、心因性の咳ではないかと言われました。

さらに数日後近医(小児科)を再診し、相談したところ甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)、8日後抑肝散(よくかんさん)を処方されました。

これらを使っても咳が続くため11月下旬に当院を受診されました。

症状が始まってから6週間が経過していました。

発熱なし、食欲、元気もあります。

既往に気管支喘息、イネ科花粉症がありますが、聴診では喘鳴はありません。

10歳ですが、母が添い寝しているそうです(本人が寝たら母は自分の布団に移動する)。

精神的な問題もあるのかな、と感じました。

アレルギー体質がベースにあり、咳喘息の状態にあり、さらに心因性も加わった可能性があります。

プランルカスト+柴陥湯(さいかんとう)+柴朴湯(さいぼくとう)+吸入ステロイド薬で治療を開始しました。

2週間後再診。

「咳が減りました。布団に入ると咳が出ます。カゼをひいたのか透明な水っぽい鼻水が出ます。学校に行く前になると咳がひどくなり、学校の校舎に入る前に泣きます。」

ここで、特に心因性の咳を意識しました。

柴陥湯を中止し、プランルカスト+エピナスチン塩酸塩+柴朴湯+小建中湯(しょうけんちゅうとう)に変更しました。

さらに1ヶ月後再診。

「先生、咳が止まりました!」

全く咳が出なくなりました。

良かったです。

もともと虚弱、敏感な体質があって、そこに心因性が被った感じでしょうか。

咳喘息だったのかよくわかりませんでした。

印象としては柴朴湯がよく効いたと。

カラダのベースを元気にして安定させれば、結構丈夫になってくると思います。

この方は、一旦飲み切り中止として、困ったらいつでもおいで、と指示しました。

 

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子どもだって冷えます

冷え症のお子さんが増えています。

冷えて体調が悪くなることは普通にあります。

お子さんでもカラダを温める漢方薬を飲むことによって元気の良さを維持できます。

簡単な例で言えば、鼻水が出るときは温めつつ炎症を抑えれば良いですね。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)を飲んでもらいます。

「すっぱ苦い!」と文句を言われつつ、「続けてみてー」と伝えます。

5日も飲めば鼻水が少なくなって喜ばれます。

小青竜湯を飲んでも、「効かん!」と言われれば、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を飲んでもらいます。

「これなら鼻水が止まって調子がいい」と。

「どんだけ冷えとるねん」という話です。

喘息発作が治らないお子さんに、まさか冷えが原因?と思って麻黄附子細辛湯を飲んでもらったら、発作がピタッと止まりました。

「うそ?」

「うそは言いません、冷えが結構悪さしとったんやね」

「冷え」という切り口で病気を見ていくと、病気を治す別ルートを見つけることができます。

 

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乾燥してかゆい皮膚に

乾燥肌の方が来られます。

1日2回、3回と保湿剤を塗ってみたら、それだけで肌の乾燥が和らぎ、かゆみが治ることがあります。

はい、それで終わり(笑)。

しっかり保湿剤塗っておいてねー、です。

しかし、なかなかそういかない人もいらっしゃるわけで。

保湿剤は使用しつつ、漢方薬を試します。

例えば、桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)です。

飲みやすいし、軽い湿疹、アトピー性皮膚炎、乾燥肌などにも使えます。

1日2回、あるいは3回内服で2週間試してもらいます。

これだけで十分肌の調子が良くなる方もいます。

抗アレルギー薬の併用も大丈夫です。

黄耆(おうぎ)の入った漢方薬なら、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)があります。

これも使えます。

こちらは甘いので飲みやすいですが、内服量が多いので御相談です。

早く皮膚の調子を整えましょう。

 

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外来は胃腸カゼとインフルエンザが多いです

昨日から外来診療を始めたら、年末と同様に胃腸カゼとインフルエンザA型が圧倒的に多かったです。

すごいのは、うちの患者さんたちは、胃腸カゼになれば五苓散(ごれいさん)を飲み、発熱があれば葛根湯、麻黄湯(まおうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を飲んで自分で治しているところです。

どうしてもうまくいかないところは、「どうしたらいいでしょう?」と聞いてきます。

自分でカゼを治せるやん!

中には微妙に飲む漢方薬がずれていて、スッキリ治らない方がいますのでアドバイスをします。

胃腸カゼは五苓散を飲んでも吐き気、嘔吐が止まらないこともありますから、点滴までしっかりやって治します。

点滴がなかった時代は、これでもう手がありません、となっていたわけです。

現在は西洋薬もあり、処置もいろいろありますが駆使すれば、迅速に症状が改善する方向に向かいます。

インフルエンザはまだ重症な方はいません。

肺炎、脳炎は見られませんが、熱せん妄を起こしたお子さんは数人います。

お子さんがインフルエンザにかかったら麻黄湯(まおうとう)を飲む機会が多いかも知れません。

1日3回でゆっくり飲んでいては、まず解熱しません。

1日3回と書いてあっても、寝ている時間を除いて2時間おきに4回、5回は飲みます。

これで解熱しないなら作戦変更をします。

麻黄湯+越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を同量ずつ2時間おきに3回、4回飲みます。

これで解熱傾向があるか、汗をかけば内服を中止します。

麻黄湯を飲んで汗をかいたのに、解熱傾向が見られないときは、桂枝湯(けいしとう)+麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)を同量ずつ2時間おきに3回、4回飲みます。

急な高熱を来す疾患を相手にするときは、まずは2時間おきにガンガン攻めてみることがポイントです。

実際の外来では、熱が下がらず抗インフルエンザ薬に変更したりすることもあります。

それくらいインフルエンザは強力な感染症ですから、アレッと思ったらすぐに治療開始です。

百万個単位で増殖するウイルスに対抗するには、これが一番です。

 

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あけましておめでとうございます

年末は書き込みもできずにブログが終わってしまい失礼しました。

今年は今日から外来診療を開始し、ブログも再開します。

今年もよろしくお願いします。

年末年始から、今まで接してこなかった日本漢方の医人に接することにしました。

古典を読む力も根気もありませんから、やさしい本とDVDから始めました。

なかなか人間味があって、それぞれの先生に興味を覚えました。

講演会に使えるように、もう少し掘り下げて学んでみます。

漢方医人列伝ですね。

少しずつ吸収して発表したいと思います。

 

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脳外科領域に五苓散を使う

小児ではまれな脳炎ですが、ヘルペス脳炎、インフルエンザ脳炎などで脳の炎症にはステロイドの点滴、静脈注射が行われます。

炎症を抑制する目的で使われます。

漢方では五苓散(ごれいさん)を用います。

五苓散は脳浮腫を改善します。

細胞レベルで水分調節を行っていることが明らかとなり、科学的に作用機序が明確になりました。

また、神経鞘にも作用し、強い抗炎症作用を示します。

ですから、小児の脳炎に限らず、大人でよく見られる脳梗塞など脳内でのトラブルに五苓散が活躍します。

西洋薬の治療に追加すれば良いです。

五苓散を追加することで、予後(病気の最終結末)が良好になることは多々あります。

是非試してみてください。

 

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胸痛に使える漢方薬

狭心症、心筋梗塞などの疾患が認められない方で、時々胸痛を訴える方がおられます。

68歳男性で、近医で高血圧などの内服薬をもらっています。

過去に狭心症、心筋梗塞でバイパス手術を数回受けています。

元気に会社勤めをしていましたが、労作時に胸痛が起こるため内科で調べてもらうも異常はありません。

診療中に、「今、苦しい!」と言われ心電図をとっても、何も異常ありません。

本当に心疾患があるのではない、ってことです。

でも本人さんは胸が痛いのです。

そこで、当帰湯(とうきとう)をお出ししました。

大塚敬節先生が、「この方は真性の狭心症ではなく、仮性狭心症ともいうべき胸背痛に用いる」と書かれています(症候による漢方治療の実際、南山堂)。

そうか、これだ!と思ったわけです。

2週間で胸痛が和らぎ、4週間でほぼ胸痛は消失しました。

中止すると時々胸痛が起こるため、1日2回ペースで内服続行中です。

 

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胸部不快感に使える漢方薬

胸痛があれば、まず狭心症、心筋梗塞、不整脈などの有無を調べます。

それは循環器内科でお世話になります。

西洋医学的に治療できるものはしてもらった方がベターでしょう。

胸部不快感があって内科を受診したら、冠動脈に狭窄が見つかりステントが挿入された方がいます。

さらに内科的に内服薬も処方されています。

しかし、胸部の不快感が治りません。

内科を再診し検査を受けるも異常なしです。

そこで半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を飲んでもらいました。

2週間後再診。

「飲んでいれば不快感はないです」

本人さんが気になるまで飲んでいただき、1ヶ月で内服中止できました。

 

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胃腸炎で真武湯を使う

今週も胃腸カゼが目立ちます。

昨日などはインフルエンザA型と胃腸カゼだけ、って感じでした。

胃腸カゼで嘔気、嘔吐の激しい方が多く点滴しないと脱水が心配というケースが多かったです。

朝奥さんとお子さんが受診され点滴を受けて帰宅され、夕方旦那さんが同様に胃腸カゼで嘔吐、下痢がひどく点滴を受けて帰っていかれました。

大人は心窩部痛がきついことがあります。

また、日頃の疲れも相まって一気に疲労が出てグッタリとなる人がいます。

点滴中に様子を見に行くと、「大丈夫か」と思えるほどグッタリしたまま点滴を受けています。

意識あるの?と心配になる人もいます。

こういう方は点滴後にサッと起き上がれないことが多く、しんどそうです。

真武湯(しんぶとう)を飲んでいただいて、温かい水分摂取に努めてもらいます。

1日、2日で元気が戻ってきます。

真武湯は日頃処方する機会が少ないですが、点滴を受けるような人には積極的に勧めています。

点滴中に真武湯単独、あるいは真武湯+人参湯(にんじんとう)をお湯で飲んでもらうと、カラダは温まるし、新陳代謝が改善され、サッと起き上がれるケースを見ることができます。

胃腸カゼに限らず、ふわふわと雲の上を歩いているようだ、となれば試してみてください。

 

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インフルエンザが増えてきました

今日の外来はインフルエンザが多く見られます。

胃腸カゼか、フルAか、という感じです。

インフルエンザA型ばかりが検出されていますが、大人もお子さんもいます。

発熱、元気がない、頭痛を訴え、ボーッとした表情で診察室に入って来られます。

うちの常連さんのお子さんたちは、発熱とほぼ同時に麻黄湯(まおうとう)の内服を開始してきています(大半はそう)。

「麻黄湯を5回飲んだけど、何で熱が下がらないの?」と質問されます。

「インフルエンザだからだよ」

「???、どういう意味?」

インフルエンザは、やはり別格のウイルス感染症ですから、麻黄湯2回、3回飲んだくらいじゃ解熱しないことがあります。

5回飲んで解熱しないなら作戦変更が必要です。

麻黄湯+越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)でいくか、桂枝湯(けいしとう)+麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)でいくか、です。

麻黄湯を飲んでも汗を全くかいていないなら、麻黄湯+越婢加朮湯でいきます。

汗をかいたなら、桂枝湯+麻杏甘石湯です。

どちらも、寝てい時間を除いて2時間おきに飲みます。

せいぜい5回くらいまでで終わります。

汗をしっかりかいたのに、一旦解熱しそうになったのに、再び熱が高くなったら、柴胡剤に変更します。

小柴胡湯(しょうさいことう)あるいは柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を1日2回、あるいは3回淡々と数日飲みます。

結構ガマンの治療です。

タミフルを飲もうが、リレンザ、イナビルを吸入しようが2日以内に解熱するのがインフルエンザです。

漢方薬を飲んでも同様の結果で、2日以内に解熱します。

西洋薬と漢方薬の併用は大丈夫ですが、併せて使用することによってより速く解熱するというエビデンスは今のところなさそうです。

 

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そうですねん、紫雲膏です

なぜか研修医の頃からずっと30年間処方しているのが紫雲膏(しうんこう)です。

やっぱり漢方薬に御縁があったのかなーと感じます。

胡麻、紫根、当帰、白蝋(サラシミツロウ)、豚脂で構成されています。

熱傷(ヤケド)、痔核による疼痛、肛門裂傷が適応です。

他に凍瘡(しもやけ)、アトピー性皮膚炎や引っかき傷にも処方しています。

カラダに多く塗りすぎると、これの独特の臭いが気になる方が出てきます。

ほどほどに塗るのが良いですよ。

私はもっぱら赤ちゃんのおむつかぶれ(中等症から重症)に使っています。

要は、お母さんが一生懸命にお尻を拭きすぎて、肌がベロンとめくれたり、傷ができた時に使ってもらいます。

ケチらず患部にべったり塗ってオムツをあてます。

次回オムツを替えるときに、古い紫雲膏を拭い取って、新しい紫雲膏をまたベッタとあててオムツで覆っておきます。

だいたい1日か2日でお尻の傷(びらん)が修復過程に入り、痛みも早くなくなってきます。

赤ちゃんが泣かなくなるので、お母さんはすぐにわかります(治ってきた!と)。

凍瘡は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を飲みながら紫雲膏でマッサージすると調子が良くなることが多いです。

紫色の軟膏ですが、皮膚に擦り込めば色は消えます。

日中は塗りにくいけど、寝る前なら気軽に濡れるという大人の方は多いです。

 

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お子さんの腹診があてになるか?

毎日のようにお子さんのおなかを診察します。

胃腸カゼのときに、「ここが痛い」とか「ここが気持ち悪い」は、どこが調子悪いかわかります。

胸脇苦満(きょうきょうくまん)とかわかりますか?

多少ウッとうなるのを、「胸脇苦満ありだ」と言えるかも知れませんが、判断が難しいことが多いかもです。

一番わかりやすいのは、腹直筋の緊張です。

要は、「くすぐったがり」かどうかです。

手でおなかを診察しようとするだけで笑うお子さんは、腹直筋緊張あり、です。

芍薬の入った桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)、桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)を処方することが多いです。

特に、小建中湯は頻度が高いです。

心窩部の圧痛が胃腸カゼなどで見られますが、漢方では心下痞鞭(しんかひこう)と呼ばれます。

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)を処方したくなります。

西洋医学的所見をしっかりとっておけば、これが漢方的な所見としてこう判断すると覚えれば楽です。

1回の診察で両方の処方が可能となります。

 

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皮膚にもいい温経湯

37歳女性です。

多発性の脱毛症で皮膚科通院中です。

セファランチン、グリチロン、プレドニン内服中です。

1年以上は通院しています。

冷えが強く、手の湿疹が目立ちます。

以前から当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を飲んでおられましたが、先月から手のほてり、湿疹を目標に温経湯(うんけいとう)に変更してみました。

「こっちの方がいい、気持ちよい発汗ができて肌にもいいみたい」

温経湯は骨盤内の微小循環障がいを病因に発症した月経関連症状や更年期障がいを鎮める応答を引き出します。

特に、「口唇の乾燥」には是非使ってください。

毎年冬にリップクリームを大量に買ってくる方に適応です。

女性に限らず、男性にも良いかも。

 

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ノドが痛いなら

水でうがいをしましょう。

桔梗湯(ききょうとう)を飲みましょう。

普通に飲んだのではもったいない。

普段漢方薬を飲むときよりもぬるめのお湯で飲みます。

できれば、口の中でエキス剤をブクブクとうがいをする要領で溶かします。

それから上を向いて、痛いと感じるノドに当てて、飲み混まず一旦溜めます。

10秒以上当てたら、ゴックンと飲みます。

するとノドの表面がコーティングされたかのようになり、痛みが和らぎます。

ごく初期の軽いノドの炎症はこれだけで治ります。

ノドがおかしいと自分で気づいた時点でやると良いです。

後で飲むか、とやると間に合わないことがあります。

桔梗湯は甘い漢方薬なので人気があります。

保育園・幼稚園児から大人まで希望者が多いです。

ダラダラ飲むのではなくて、ノドが痛い、ごく初期に、うがいしてからゴックンするのがコツです。

漢方薬は合っているのに、飲み方を知らないと効きが悪いことがあります。

飲み方の指導は大切です。

主治医、あるいは薬剤師の服薬指導にかかっています。

うちは主治医、看護師(看護師が忙しいときは事務員)の2段階体制で最初は指導しています。

 

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胃腸炎でも芍薬甘草湯を

胃腸炎が多く見られます。

嘔吐、下痢が止まらず多くのお子さんが来院されています。

吐き気が止まらない、下痢が頻回で元気がなくなってしまった方もいます。

お子さんから保護者に感染して家族4人、5人ともグッタリというケースも見かけます。

点滴依頼もあります。

生後6ヶ月のお子さんの嘔吐、脱水症もありました。

胃腸が正常な蠕動運動をしないため、時々ギューッとおなかが痛くなることがあります。

この時に芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を頓服的に使います。

この漢方薬は、字に書いてあるが如く甘いので、お子さんでもサッと飲んでくれます。

こむら返りのように5分では効果は出ないですが、15分経過した頃から腹痛が和らぎます。

例えば、嘔吐、下痢に五苓散(ごれいさん)を飲みながら、腹痛があるときだけ芍薬甘草湯を追加して飲むのです。

おなかが緊張して下痢と腹痛が持続するときは、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)を使います。

これは嘔吐には無効です。

過敏性腸症候群の下痢型には有効です。

西洋薬で止痢剤+整腸剤を飲んでいるお子さんが、腹痛があるときだけ芍薬甘草湯を適宜追加で内服する方法を取っています。

芍薬甘草湯を上手に使ってください。

 

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首の後ろが痛い

後頚部が痛いと訴える方が来られました。

項部(こうぶ=うなじ)が凝ります。

手足はしびれません。

こういう方は葛根湯で対応します。

首を縦に振って、後頚部、項部が痛い、凝るなら、1週間使ってみましょう。

2日、3日もすれば合うかどうかわかります。

胃に障る方は、麻黄(まおう)を抜いた桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)があります。

こちらを使うと良いです。

後頚部、項部が凝り、両上肢が痛い、しびれるなら、葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう)を使います。

葛根湯に附子(ブシ)末が加わったものです。

ブシは場合によっては増量します。

これらを駆使して、現在より症状が緩和されたらありがたいです。

 

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やっぱり当帰芍薬散はいいねー

昨日の漢方外来は、女性の冷えの相談がダントツに多かったです。

冷える、むくむ、子宮に病気が見つかった(腺筋症?)、月経時に腰痛、腹痛あり。

もともと貧血が強く内科でずっと鉄剤を処方されています。

これは当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)の出番です。

以前これを婦人科でもらっていましたー、と言われる方がおられました。

いい感じがしたらなら続行です、とお伝えしました。

女子高生、女子中学生で冷える人が増えているので、この年代から当帰芍薬散を開始するケースも増えました。

冷たいもの、冷えるものを摂取しすぎ、ファッション重視の薄着など、現代らしい原因が背景に見えてきます。

どの年齢にせよ、冷えはよくありません。

自分に合う冷え用に漢方薬を早く見つけて飲んでいただきたいです。

これからの季節、冷えるばかりです。

どうぞご自愛を。

 

やっと原稿が動き出しました

小児科で使える漢方薬の本を出版しましょうと話があってから約3年。

やっと原稿が動き出しました。

医学書の出版は初めてなので、わからないことが多いです。

出版社の方が忙しいんでしょうね。

やっと来年には本を出せそうです。

あまりにも出版ができないので、産みのの苦しみを味わいました(男なのに)。

なんと、難産の神様にお参りに行きました(爆)。

それは、まあありがたいことなので、しっかり本を仕上げます。

来年に小児科学会の本屋さんのコーナーには、大阪のさかざきこどもクリニックの坂崎先生の本の横に並べてもらいたいです(笑)。

来年は、違う角度から見た小児科に関する処方例、症例集をまとめてみようかと思っています。

やることが満載だー。

 

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補中益気湯だけで痔は大丈夫です

78歳男性です。

痔で困っていたところ漢方薬に出会いました。

痔が飛び出て痛い、出血するので乙字湯(おつじとう)を開始しました。

1ヶ月経過したら、痔が飛び出なくなり、さらに出血、痛みもありません。

お通じも良くなりました。

数年経過した頃から、飛び出る回数が増えたため補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を追加しました。

「下がったものを持ち上げる作用」を利用しました。

これでちょうど良かった!

先日外来に漢方薬を取りに来られました。

「あまりにも調子いいので、今は乙字湯を飲んでいません。補中益気湯だけで大丈夫です。」

「え?」

「補中益気湯だけで痔が出ないし、元気も出てありがたいです!」

補中益気湯だけで痔は出ない、元気が出る、お通じも良いそうです。

補中益気湯恐るべし!

いろいろな場面で活躍中です。

私は毎日2包飲んでいます。

全身倦怠感に使っています。

外来やっているとカゼをもらいまくって免疫が下がります。

これに対応して元気の良さを維持しています。

 

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冬は麦門冬湯が大活躍

カゼシーズンが始まると、外来終わりにノドが痛い、乾燥します。

お子さんたちから、大量のウイルスを暴露されますから仕方がありません。

外来中にリレンザを吸入して、インフルエンザウイルスの発症を抑え、麦門冬湯(ばくもんどうとう)でノドの乾燥、炎症に対応します。

ノドが痛くなったら桔梗湯(ききょうとう)でうがいしてからゴックンと飲みます。

寒気が始まったら葛根湯を2包一気に飲みます。

これの繰り返しで、何とか発病に至らずに終わります。

中でも麦門冬湯は重宝します。

ノドがいがらっぽいなと感じたら、外来中でもすぐにお湯で飲みます。

ということは、漢方薬が常に手元に置いてあるということです。

葛根湯、麦門冬湯、桔梗湯はもちろん、五苓散(ごれいさん)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、桂枝茯苓丸加ヨクイニン(けいしぶくりょうがんかよくいにん)はストックがあります。

岐阜大学の救急の熊田先生が、「漢方薬をいろいろ集めたくなるよねー」と言っていましたが、あれこれ自分で試してみたくなるんです。

 

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逆流性食道炎で困る

40代女性。

逆流性食道炎で内科通院中です。

ランソプラゾールなどを内服中ですが、胸のあたりが痞(つか)えるような感じがする、気分が良くないと。

ランソプラゾールを飲む前は、胸やけ、ゲップなどがありましたが、これらは内服後ほぼ解消しました。

解消しない症状を何とかしてくれ、という要望です。

以前から加味逍遙散(かみしょうようさん)を飲んでおられます。

結構、精神的にトラブルが多い方です。

ここで茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)の出番です。

食道の蠕動運動が障がいされているため胃液が逆流して、その不快な症状が続くせいで抑うつ状態になった人に、食道の蠕動を回復させて逆流を解消し、その結果気分が爽快になるという応答を引き起こします。

この方は、茯苓飲合半夏厚朴湯を内服して2週間以内に症状が改善しました。

以後、同様の症状が起きたときに、西洋薬に併用して飲んでいます。

気分が良くなるのがいですねー。

なかなか使う機会がないかも知れませんが、これは名方です。

 

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何歳まで麻黄湯を飲めるか

麻黄湯(まおうとう)はインフルエンザのときに使うといい、という情報があります。

発汗して解熱を図る漢方薬です。

葛根湯も同様に、発汗して解熱させるシリーズです。

麻黄にはエフェドリンが含まれますので、飲み続けると吐き気、動悸などが起こることがあります。

お子さんたちは麻黄に強いのでガンガン飲んでも、まず何も起きません。

外来で見ていると、女性は高校生ぐらいから飲みづらい、気持ち悪いという方が増えてきます。

男性は40代までは大丈夫な方がほとんどですが、例外もありますので患者さんに確認しながら処方しています。

大人の方が発汗して解熱を図るなら葛根湯で十分なことが多いです。

相手がインフルエンザなどの強力な感染症の時は、患者さんに強い生体側の反応を起こして解熱に導いて欲しいので、1日、2日のみ麻黄湯を2時間おきに飲んでもらいます。

麻黄湯が強い漢方薬なのではなくて、麻黄湯を飲むと患者さんに強い生体反応を起こさせると考えます。

強い生体反応を起こす必要がなければ、葛根湯や麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)で十分なのです。

私は50代後半ですが、まだ麻黄湯が飲めます。

患者さんでも40歳後半で、まだ麻黄湯でカゼを治している方がいます。

無理はいけません。

年齢に合った漢方薬で治してください。

 

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