うちの患者さんたち

「先生、今日は漢方入浴剤を兄弟3人分ください」

「2番と29番がなくなったんで、1ヶ月分もらえますか」

「急にめまいがしたんで、39番と71番一緒に飲んだらよく効いたわ、残りが少なかったんでちょうだい」

「温経湯(うんけいとう)をサボってたら、湿疹が出てくるし、皮膚がカッサカサになってきたんで、ちゃんと飲んどかなあかんな」

「カゼひいたと思ったんで葛根湯2包飲んで、ノドが痛かったんで桔梗湯(ききょうとう)を1包飲んだけど合ってる(合っています)」

まあ、皆様いろいろな場面で漢方薬を使っておられます。

患者さんが言われる言葉は大切です。

今後の処方に役立ちますし、他の患者さんへのアドバイスにも応用できます。

1回患者さんたちに、自分の経験を話してもらう機会を作ろうかなと思います。

 

 

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無理に出しません

インフルエンザにかかったお子さんのお母さんが、「先生、うちの子に漢方薬出そうとしてるでしょ」と言いました。

いやいや、別に無理に漢方薬を出そうとはしていませんよ。

漢方薬以外に手があれば、それを使えば良いですよ。

タミフルを飲む、リレンザを吸入する、イナビルを吸入するそれで構いません。

カゼをひいたら、まず相手はウイルスでしょ、西洋薬は対症療法しかないから漢方薬で抗炎症作用を使って治してみますか?と提案しています。

胃潰瘍になった、心筋梗塞になったら、まずは西洋医学的な検査・処置をして西洋薬で十分治ります。

西洋薬を飲んでいても胃がもたれる感じがするとか、動悸、息切れ、脈が結滞するとかが起こります。

西洋医学的に調べてもらっても異常なしのときどうしますか?

患者さんは困りますよね。

そこに漢方薬をはめてみる、サポート的に入ってみる、などが可能です。

漢方薬がメインで使えうのは、カゼ以外には女性の月経に関するトラブル、いわゆる血の巡りです。

微小循環障がいは漢方薬が得意です(動脈系を動かすのは西洋医学が得意です)。

どっちがいい、ではなくて患者さんが困っている症状・状態に対して、現在使える治療を総動員してキレイに治す努力をするという姿勢が大切だと思います。

 

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そろそろロタウイルス胃腸炎が増えます

インフルエンザの流行期が過ぎようとしています。

スギ花粉症が多くなってきます

そこにロタウイルス胃腸炎が多くなってくる季節です。

外来には胃腸カゼの方が来院されています。

小児、特に1歳未満の赤ちゃんがロタウイルスに感染すると下痢をしますが、それより怖いのは脳炎・脳症です。

インフルエンザ、単純ヘルペスに次いで脳炎になりやすいウイルスなのです。

数年前当院の患者さんがロタで受診され自宅に帰った後に無熱痙攣を起こして救急搬送されました。

大事に至らず無事退院されましたが、こういうことが稀ですが起こります。

下痢を頻回に起こすと、カラダは一気に脱水傾向になるので、早期に下痢を止めることが大切です。

腸管の炎症を止めるためには漢方薬です。

五苓散(ごれいさん)が小児では使いやすいですが、大人の方も是非使ってください。

特に口渇があればよく効きます。

ノドが渇く、水分を摂る、また吐く、でもまたノドが渇く、、、、というケースです。

少量ずつ水分摂取して、五苓散を飲めるだけ2時間おきに飲んでください。

桂枝人参湯(けいしにんじんとう)を1時間おきに飲む方法もあります。

今日のうちに治すつもりでガンガンいきます。

他にも漢方薬の候補があります。

早く元気になるために、短時間で一気にいきます。

 

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麻杏甘石湯という漢方薬

麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)という漢方薬があります。

小児の咳によく使います。

気管支喘息にも有効です。

ゼロゼロする痰がからむ咳があれば使ってみます。

日頃から気管支喘息の発作に使っているお子さんも多いです。

麻黄(まおう)が入っていますが、大人の方でも喘息で飲んでいる方もおられます。

気管支の炎症を止めて、拡張して咳を治めるイメージでしょうか。

患者さんが自分で咳を鎮める応答を引き出しているという理解をしています。

お子さんは、麻杏甘石湯に桑白皮(そうはくひ)を追加した五虎湯(ごことう)の方が飲みやすいと言われます。

夜間の咳嗽にも良いように見えますので、うちのクリニックでは小児に五虎湯を処方する機会の方が多くなってしまいました。

飲んで1日もすれば、この漢方薬が合っているかどうかは、わかります。

 

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滋陰降火湯を使って乾燥を治す

滋陰降火湯(じいんこうかとう)という漢方薬があります。

カサカサに乾燥した咳が出る時に使います。

乾燥した咳、かすれたた声、ノドがイガイガには麦門冬湯(ばくもんどうとう)が有効です。

甘くて飲みやすいので人気もあります。

お子さんのファンまでいます。

麦門冬湯を飲んでいても、これはもっと乾燥していると思われるなら滋陰降火湯です。

漢方薬で最も乾燥を潤す応答を患者さんから引き出すと考えられます。

皮膚の乾燥、口腔内の乾燥にも応用できます。

透析患者さんの皮膚の乾燥にも使えます。

潤すことができるのが漢方薬の特徴です。

夜布団に入ると咳がひどくなる、就寝中に咳が止まらなくなり目が覚める時にも使ってみてください。

 

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カゼの時の頭痛

カゼをひいて頭が痛いとき、どうしてますか?

解熱鎮痛剤を飲む方が多いでしょうか。

最近うちの外来では、それを飲む前に漢方薬を試してもらっています。

飲む漢方薬は、川きゅう茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)です。

頭痛を目的に飲むと、「痛みが止まった」と言われる方がちらほら出てきます。

これを飲んだら、カゼ自体が治ってしまった!という方も。

月経関連の片頭痛にも重宝しています。

月経になると片頭痛がひどくて西洋薬が無効の方に、1回2包ずつ飲んでもらいます。

30分で頭痛が和らぎ始め、1時間でほぼ治ってしまうことも多いです。

本人がカゼからくる頭痛だー、と訴えたら是非試してみてください。

 

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熱の上がり下がりで困ったら

インフルエンザに限らず、熱が下がったと思ったら夕方、夜からまた熱が上がることがあります。

インフルエンザでも2峰性発熱を見ますね。

他のカゼでも時々あって困ります。

抗生剤はまず効かない、相手がほとんどウイルスだからです(マイコプラズマもありますが)。

こういう熱型には、小柴胡湯(しょうさいことう)などの柴胡が入った漢方薬を使うとうまくいくことが多いです。

特に、発熱、咳があるときは小柴胡湯はもってこいです。

気管支炎、肺炎を想定して1日4回、5回、6回と2-3時間おきに頻回に飲みます。

抗生剤、ステロイド剤の併用は構いません。

意外にサッと解熱していくのを経験します。

 

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桂芍知母湯とリウマチ

リウマチで手指の関節痛が起こり困っている方がおられました。

少数ですが来院されており、整形外科をメインに通院され、私ができるサポート治療をしております。

桂芍知母湯(けいしゃくちもとう)という漢方薬があります。

これを飲むと手指関節を曲がりやすくなり、疼痛が軽減されます。

患者さんがおっしゃるには、「調子が良かったので、数週間漢方薬を飲まずに様子を見ていたら、朝一番に手を開くのに痛いし、時間がかかるようになってきました」

飲まずに経過を見たら、漢方薬が効いていたことがわかったと。

1日3回飲めなくても、1日1回、2回と副作用に気をつけながら内服を続けた方が、本人さんにとっては都合が良いようです。

リリマトレックスなどの西洋薬の副作用も消しているように思えます。

 

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うつうつしてる方に

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)があります。

自覚症状としては、食欲がない、眠りが浅い、疲れやすい、気力がわかない、何をやっても楽しくない等です。

見るからに元気がなく、血色が悪い方が該当します。

西洋薬が必要な方はまず専門医の受診をお勧めします。

そこに漢方薬を当てはめていくことも可能です。

自信喪失、というのもキーワードです。

1回1包、1日3回お湯で飲んでみましょう。

1-2週間飲めば、自分で調子が良いかどうかわかります。

少し調子が上がってきたな、と感じたら1ヶ月単位3ヶ月くらいは飲んでみます。

うまくいけば内服を中止しても良くなる可能性があります。

ボチボチ行くことです。

 

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カチカチの便が出ない

便秘の相談です。

普段は大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)でスッキリとお通じがある方です。

インフルエンザにかかって高熱が出てから、便秘が頑固になり大黄甘草湯で出なくなったそうです。

1日2回飲んでいたところを3回飲んでもダメです。

次第に便が出ない上、上腹部にガスがたまって張ってきました。

おなかが張ると痛くなります。

食事もあまり進みません。

桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)を処方しましたが反応なし。

これはかなり頑固だなと判断し、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)を1日1回、2回と試してもらいました。

1包、2包飲んだあたりから、粘土状の便が少しずつ出るようになりました。

おなかの張りは内服後2日目から軽快です。

3回飲むと下痢になるかもと心配しながら、頓服的な使い方で経過観察中です。

腎臓疾患で透析中の方なので、あまりガンガン攻める治療は避けたいところです。

ある日突然便秘になることもあるのです。

 

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桂枝湯+麻杏甘石湯

大青竜湯(だいせいりゅうとう)という漢方薬があります。

インフルエンザに限らず高熱が出た時に用います。

受診時に少し汗ばんでいるが、まだ高熱が持続して悶え苦しむ感じがあれば使います。

桂枝湯は妊婦さんのカゼにも使えるカゼ薬の1つです。

胃腸カゼにも使えます。

麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)は咳、気管支喘息に用いる漢方薬です。

この2つを足すと、解熱を促す強力な漢方薬に変身します。

これを2時間おきに、寝ている時間を除いて飲むとだいたい3回、4回目までに解熱してきます。

それでも解熱しないなら、違う手をうちますが、本当にカゼか?という確認も大切です。

今年もインフルエンザA,Bを中心に使っていますが、おおむね経過は良好です。

2つの漢方薬が混じっていますから、内服量が多めになります。

1回の内服量全量を飲めなくても結構です(こう伝えております)。

一口でも二口でも飲めるだけを2時間おきに飲んでくださいよー、と。

大人はお湯で願いします。

一度お試しなると、どこかで1回はストンと解熱する瞬間に出会えます。

 

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冷え+冷え

冷えて冷えて仕方がありません、と患者さんが訴えます。

いつもの漢方薬だけではダメです。

今年は氷点下の気温が続きますから、冷える方は大変です。

例えば、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を飲んでおられる方がいます。

いつもなら、これだけで十分温まる。

ダメなら何か1つ追加してみたらどうですか?

附子(ぶし)という粉薬があります(附子末)。

あるいは、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を足すとか。

腰から下が冷えれば苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)とか。

それで大半は何とかなります。

もともと飲んでいる漢方薬を1日4回飲んだら、温まった!という方もおられます。

もう少しの期間、冷えが続きますので御自愛ください。

 

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お子さんのおなかの冷え、腹痛

おなかを痛がる保育園児がいます。

便秘もなく、外傷もない。

既往歴も特に異常ありません。

おなかが痛いときは大変ですが、一時的な痛みで時間が経つと何ともない様子で遊んでいます。

数ヶ月前にあまりにもおなかを痛がるので外来を受診されました。

受診時には、特に異常ありません。

おなかを触ったら腹直筋が緊張したので小建中湯(しょうけんちゅうとう)を処方しました。

数ヶ月は調子良かったのですが、再び腹痛が起こり始めました。

再度話を伺って、おなかを触ったらキンキンに冷えています。

もしかしたら冷えが原因だったかと判断し、大建中湯(だいけんちゅうとう)に変更しました。

そうしたらバッチリでした。

お子さんは、「今度の漢方薬はまずい、辛い」と。

小建中湯は甘いですからね。

辛いは正解で、ショウガ(生姜)とサンショウ(山椒)が入ってますからね。

あと1-2ヶ月はこのまま大建中湯を続けてみようということになりました。

 

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腹痛を伴う下痢に

インフルエンザが流行しているので、つい最近までパラパラ流行していた胃腸カゼが横へ押しのけられた感があります。

軽いインフルエンザB型といわゆる胃腸カゼ(これもウイルスですが)が鑑別が難しいです。

で、胃腸カゼのお子さんの話です。

幼稚園児ですが、下痢と腹痛を訴えて来られました。

発熱はなく、様子からはインフルエンザという感じではありません。

とにかく下痢するときにおなかが痛くなり困ると。

おなかを触ると、くすぐったがります。

要は腹直筋が緊張します。

こういうときは、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)です。

おなかの痛みを取りながら、下痢も治します。

 

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講演会で聞かれること

小児の薬用量を聞かれます。

決まったものはありませんが、私は0.1-0.2g/Kg/dayを目安に出しています。

体重が15キロのお子さんなら、1日で1gから2gのエキス剤を飲みます。

ツムラなら1包2.5gですから、1日で半包飲めれば良いです。

最大量としても1包未満です。

20キロを超えてきたら、1日で2gから4gです。

エキス剤の1包から1包半まで飲めます。

あまり厳密ではありませんが、目安としてください。

漢方エキス剤を飲んで、発熱して発汗させて解熱を図る漢方薬(例えば麻黄湯)を飲むと、漢方薬でしか入らないスイッチを自分で押し続けることによって、発汗させて解熱する応答を起こすことになります。

患者さんが漢方薬を飲むことによって、自分で病気を治す反応(応答)を起こすのです。

それは強い反応だったり、弱い反応だったりします。

外来で見ていると、かなり少量しか漢方薬が飲めないお子さんでも続けて内服すると、ポンと発汗して解熱することがあります。

少量ずつの内服でもスイッチが入るようです。

そうなると薬用量は少なめでも、飲み続けることで治っていくことになります。

お子さんは、0か1か?となれば、1だけでも口に入れてくれれば病気が治る反応が起こる可能性があります。

ですから、最初はいろいろなものに混ぜてもいいから、飲むことが大切です。

 

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カサカサに皮膚のかゆみに

当帰飲子(とうきいんし)という漢方薬があります。

皮膚の乾燥とかゆみを伴う慢性皮膚疾患の患者さんに使えます。

皮膚が潤い、かゆみが軽減する応答を引き出します(患者さんから)。

1週間飲めば合っているかどうかわかります。

乾燥傾向が強いなら温清飲(うんせいいん)を併用します。

高齢の方に適応が多いですが、必ずしも高齢の方だけではなく、中高年あたりでも効く方がおられます。

同時にスキンケアもしっかりしましょう。

御自分に合う保湿剤を1日2回は塗っておくと良いでしょう。

まだまだ寒くて乾燥する日が続きます。

御自愛してください。

 

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食物アレルギーに使える漢方薬

小児の食物アレルギーの相談は多いです。

現時点で、これ!という決定的な治療はありません。

ある年齢まで食物を除去、食物の負荷試験を行って少しずつカラダに慣れさせていく等が行われています。

市民病院、大学病院、小児のアレルギー専門外来をやっている先生に紹介するケースが多いです。

抗アレルギー薬を飲んでいる方は多いですが、根本的なところは治らないようです。

現在、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、葛根湯、柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)などが使われます。

まだエビデンスがはっきりしないことが多いです。

西洋薬の対応をしつつ、漢方薬に合う体質であれば、試してみたいところです。

うちでは、現在小建中湯、補中益気湯を使って経過を見ているところです。

 

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桂枝湯でインフルエンザを治す

桂枝湯(けいしとう)という漢方薬があります。

漢方薬の基本は桂枝湯と言われます。

これを使ってインフルエンザが治ります。

高熱が出て、ちょっと汗をかいた状態で来た患者さんがおられます。

熱はもう37℃前半で、元気もそこそこあります。

汗ばんだ皮膚が認められます。

「わりと元気だけど、インフルエンザだからカラダがだるいですねー」と訴えておられます。

西洋薬はいらないから漢方薬だけでいくわ、と。

今年は37℃前半の熱のインフルエンザが多く見られます。

3日経過すると、元気が出て咳が目立つ人も少ないです。

麻黄剤を使って攻めるほどの感じでもありませんでしたので、桂枝湯単品で治療を開始しました。

翌日からインフルエンザがカラダから抜けた感じがしたそうです。

食欲が湧かないので、仕上げに補中益気湯(ほちゅうえっきとう)をお出ししました。

桂枝湯は決して弱い薬ではありません。

 

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近づきがたい雰囲気の人に

これは教えたくないネタです。

「近づきがたい雰囲気」を持っている方がいます。

例えば、昨日外来受診をされた40代女性。

「生理前になるとイライラして、自分でも嫌になる、周囲には暴言を吐いちゃうし、手も出てします、この時だったら人を殺せるかもと思っちゃう」

おいおい、大丈夫か、です。

そんな人には、加味逍遙散(かみしょうようさん)を使います。

さらに、キーキー言っている人には、抑肝散(よくかんさん)を追加します。

この2つを飲むと調子いいわー、と言う人には普通近づきたくないですよね。

今度は、会社でいつもイライラ、ガミガミ怒鳴っている上司がいます。

血圧も高めで、脂質代謝異常症も合併しています。

外来に来ても難しい顔をして、あれこれと文句を言い始めます。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を使います。

このような方々は、外来、病棟では丁重に対応します。

調子が良くなると、全然感じが違ってきますけどね。

逆に、こっちが近づいて大丈夫ですか?と声をかけたくなるタイプの方がおられます。

それは、香蘇散(こうそさん)が合う人です。

軽い抑うつにも有効です。

 

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インフルエンザにかかった後に補中益気湯

インフルエンザにかかった後に、だるい、食べられない方がいらっしゃいます。

今年はインフルエンザで解熱した後、結構元気で咳も悪化せず、ご飯が食べられることが多いように思えます。

数は少ないかも知れませんが、なかなか元気が出ない人にお勧めしている漢方薬があります。

それが補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。

これを1包飲んだ途端、急にご飯を食べ始めたのでビックリした、とあるお母さんが報告に来てくれました。

確かに、食欲が出て食べられるようになり、元気が出てきます。

食後に眠気がくる場合もよく効きます。

インフルエンザの予防効果もあり、かかってしまった後にも活用できます。

ありがたい漢方薬です。

 

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竹じょ温胆湯を使う

竹じょ温胆湯という漢方薬があります。

インフルエンザにかかった後、咳がしつこく残って困った時に使えます。

今年はインフルエンザにかかって解熱した後、咳が軽い人が多い印象です。

中には、咳が止まらない!と言われる方がおられまして、クラリスロマイシン+竹じょ温胆湯で治りました。

咳がなかなか治らないので、気分が塞いでいる場合はよく効きます。

心にも有効なのが面白いです。

保険病名も、「インフルエンザ」で通ります。

インフルエンザに限らず、カゼをひいて熱が下がったのに咳が止まらないなあ、と感じたら使ってみる価値があります。

咳喘息でよく使っている柴陥湯(さいかんとう)は、乾性咳嗽がメインで、痰が絡むときもあるよね、ってイメージで使えます。

竹じょ温胆湯は、痰がからむ、湿性咳嗽がメインで、とうイメージでしょうか。

咳が出たら咳止めしかない西洋薬に比べ、咳を治すのにあれこれ考えて選べる漢方薬は、対応できる守備範囲が広いです。

 

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直接ではないですが

アレルギー性疾患、例えばアレルギー性鼻炎を治すのに、抗アレルギー薬を飲むことがあります。

直接症状に合わせて薬を選択します。

間接的に治す方法があります。

今話題になっている腸内フローラ(腸内細菌叢)を良くしてアレルギー性疾患を治す方法があります。

免疫学的に見ると、アレルギー性炎症組織の免疫細胞のバランスがTh2>Th1となります。

Th1とTh2の両者のバランスが良いと免疫学的にはオッケイとなります。

それを目標に腸内フローラを整えるために、ヨーグルトなどの健康食品が多く発売されています。

漢方では、膠飴(こうい)というアメが入った漢方薬があり、腸内細菌の餌になります。

その結果、腸内細菌を整い、アレルギー疾患が治るというエビデンスが出始めています。

五行論の相生の考え方でも、「脾(消化管)」を治すと、「肺(呼吸器)」が治るとなっており、面白い話です。

小児科でいうと小建中湯(しょうけんちゅうとう)を飲むことになります。

重症なアトピー性皮膚炎のお子さんが来院されて、あらゆる西洋薬の治療をやってこられていました。

どうにもこうにも困ったので、小建中湯をお出ししたら、1ヶ月後からみるみるうちに調子が良くなり、最終的には抗ア剤内服なしでも調子が良くなったのを診ました。

こういうのを経験すると、腸内細菌叢を整えることがいかに大事かわかります。

 

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こちらの勝手な思い込み

冷えるでしょう、と患者さんに話をして、漢方薬を処方します。

うまくいく場合もあれば、全然ダメという場合もあります。

特に、漢方薬を処方し始めると、面白いように冷えが治っていくのを見ることができます。

例えば、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を飲むと、手足の冷え、しもやけ、頭痛、腰の冷え、痛みが改善し、患者さんに喜ばれます。

よく効くなー、とわかれば、何人もの方に試してもらいます。

ですが、全員には有効ではありません。

温経湯(うんけいとう)に変更したら、こっちで十分です、ということもあります。

四物湯(しもつとう)をベースに使ったら、調子がいいとかもあります。

こちらの勝手な思い込みで、これがいい!なんてゴリ押ししてはいけません。

患者さんから、「アカン、効かん」と言われたら、素直に問診からやり直しです(悲)。

 

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スギ花粉症には小青竜湯か

スギ花粉症に小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が有効だと、かなり知られてきました。

が、世の中的には、まだまだ漢方薬の認知度は低いと感じています。

インフルエンザには麻黄湯(まおうとう)、カゼには葛根湯、みたいに1対1対応だけでは、漢方薬の可能性を使い切っていなくてもったいないです。

小青竜湯は、「水っぽい鼻水、医学的には水様性鼻汁と言いますが、くしゃみ、咳、喘鳴(ゼーゼー)」した状態なら、どんな病気でも使えます。

こういう症状を出している、鼻カゼの人もアレルギー性鼻炎(花粉症を含む)の人も飲めます。

要は、病名は関係ない、ということです。

小青竜湯だけで症状が軽快してオッケイとなる人もいれば、もうひとつ物足らない人もいるはずです。

物足らない人は、小青竜湯に何か1つ足して飲んでみましょう。

五虎湯(ごことう)、麻黄付子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などを追加してみると、症状がスッキリすることがあります。

抗アレルギー薬を追加したら良くなることもあります。

まれに、小青竜湯は効くけど胃に障って飲めない方がおられます。

そういう時は、苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)を使ってください。

小青竜湯から、麻黄を抜いたものです。

 

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スギ花粉症が始まった

昨年よりスギ花粉の飛散量が多いようです。

年明けから、「スギ花粉症が始まりました」と患者さんが来はじめています。

昨年の飛散量が少なかったので、今年は症状がひどくなったと感じる方が多いかも知れません。

飛散量は例年程度だそうでから、本人さんの感じ方の問題ですかね。

くしゃみ、水様性鼻汁なら、冷えが強い人は麻黄付子細辛湯(まおうぶしさしんとう)、冷えが軽い人は小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。

私は小青竜湯で、ほぼ大丈夫です。

くしゃみ連発、目がかゆい日は、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を追加すると、すぐに楽になります。

以前は、抗アレルギー薬を飲んでいましたが、どうしても眠気が出るし、鼻が乾燥してくるので、最近は時々飲む程度です(抗ア剤のフィルム剤など、あれこれ試しています)。

1月下旬、2月上旬と次第にスギ花粉が多く飛ぶようになります。

あれ?と感じたら、症状が重症化する前に早めに対応したほうが賢明です。

 

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小児の麻黄湯の内服量

麻黄湯(まおうとう)の内服量は、体重当たり0.1-0.2g/日です。

体重が10キロならば、1日で1-2gです。

これを1日2回あるいは、3回に分けて飲みます。

医療機関で処方されるエキス剤の1包が2.5gですから、1日で半包飲めれば良いです。

ただし、発熱時に飲む時は、2時間おきにエキス剤の4分の1包を、@37.5℃を目安に解熱するまで、A汗をかくまで、Bおしっこが出るまで、@、A、Bのどれか1つを認めたら内服中止です。

こういう飲み方をするので、解熱を図るために麻黄湯を飲む時は、通常の内服量を超えていきます。

しかし、せいぜい4回、5回、6回と飲んで解熱しないときは、作戦を変更しないといけません。

体重が25キロを超えてきたら、エキス剤の半包ずつを飲むイメージです。

インフルエンザに麻黄湯を使うと、5回、6回飲んでもなかなか解熱しないことがあります。

それはインフルエンザが別格のウイルス感染症だからです。

そういう時は、麻黄湯+越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)にして、麻黄湯をパワーアップして使うと解熱してきます(せいぜい6回まで内服)。

 

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麻黄湯は強い薬ではありません

インフルエンザに麻黄湯(まおうとう)が使われます。

麻黄は小児には使いやすい生薬です。

ガンガン頻回に使っても、お子さんたちにはまず副作用は起こりません。

心臓などの基礎疾患を持っているお子さんは主治医と相談してください。

大人が飲むと、エフェドリンの影響で吐き気、動悸などが出ることがあります。

漢方薬は生薬の集合体です。

インフルエンザのような強力な感染症(サイトカインストーム)であれば、対抗する患者さん側も強い反応を起こして対抗するのが妥当でしょう。

麻黄湯を飲むことによって患者さんに強い抗病反応を起こして対応することになります。

高齢の方でも、基礎疾患などにきをつけながら短期間(1日、2日)麻黄湯を飲んで、解熱を図ることもあります。

解熱傾向が見られたり、汗をかいたり、おしっこが出たら、数回飲んで内服中止です。

漢方薬を飲むと、患者さんが漢方薬でしか入らない病気を治すスイッチ(抗炎症作用、熱産生、水分調節、微小循環障害)を押し続けることになり、患者さんが自分で治し始め、それを続けることによって病気が治っていきます。

上手に使えば、病気が早く治ります。

 

 

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大防風湯が有効だった足の痛み

67歳女性。

うちに通院中のお子さんのおばあちゃんです。

精神科でうつ病、不眠症と診断されパキシルなどの内服薬で治療中です。

以前からリウマチと診断され内服薬を勧められるも飲んでいないようです。

杖をつかないと歩行できない状態です。

全身が冷える、便秘あり、頭が重たい、しめつけられる、手足のこわばり、足元のふらつきが目立ちます。

精神科だけで9種類(!)の薬を内服中です。

もうおなかいっぱいです。

口は達者でよくしゃべりますが、カダラは痩せてガリガリですが、膝関節だけポコッと腫れています。

元気はなく、食事も多くは食べられず、全体的にパワー不足です。

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)を使いたくなるような人で、下肢のの運動麻痺、疼痛に大防風湯が有効です。

まずは、今のお薬に大防風湯を追加しました。

2週間後再診。

「3回飲むと胃が痛い」と言われましたが、よく見たら杖なしで歩いています。

「何か大丈夫みたい」と。

1日2回内服で続行としました。

さらに1ヶ月後再診。

「元気になりました、胃も痛くありません」

さらに2ヶ月後。

「趣味のミシンをやっています、右手指が痛いけどできます」

なおかつ、不思議なことに手指の第1関節の屈曲が治ってきました。

その後どんどん元気になり、杖は困ったときに使うだけ、掃除をする時も手足に力が入り、ミシンで自分の服を作ったり、修繕したりしています。

精神科の薬も調子良ければ、少しずつ減量できそうです。

 

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胃食道逆流症に半夏瀉心湯が有効だった1例

44歳女性、事務員。

平成29年10月から朝のみ吐き気が始まりました。胸やけあり、げっぷなし。

既往歴は特にありません。

近位を受診され、軽度の逆流性食道炎と診断されパリエット、次にネキシウムを処方されました。

内服薬でも症状が変わらないため当院を受診されました。

さらに平成29年夏頃から夕食時になると37℃前後の発熱が出るようになったそうです。

平熱は36.3℃から36.5℃だそうです。

全身倦怠感など、その他の症状はありません。

足は冷える、肩こりあり、視力が落ち、目がかすみ、耳が塞がった感じが時々あり、月経に関するトラブルなし、です。

歯根舌、心窩部の著明な圧痛あり。おへその右下に圧痛あり。

下腹部の正中線に沿って、おなかの張りがありません(小腹不仁)。

心窩部の圧痛が著明だったので、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)を処方しました。

長患いでカラダがへばっている、歯根舌もあるからエネルギーも不足だろうと考え、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を追加しました。

2週間後再診。

「漢方薬は飲めました、吐き気がなくなり、胃がスッキリしました、補中益気湯で元気も出ました」

一気に困ったことが解消しました。

肩こりは、桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)の頓服で解消されました。

 

 

 

 

腕が痛くて上がらない

運送業や、繊維関係で荷物の上げ下ろし、運び込みなどで毎日作業されている方がいます。

仕事中に腕や肩に痛みを覚え、鎮痛剤やシップを貼っています。

時間が経つと、また痛みが来て、次第に腕が上方に上がらなくなります。

毎日腕を酷使するので、炎症が起こっている、微小循環障がいがあるのだろうと思われます。

あれこれ漢方薬を試しておられる方がいます。

どうしても段ボールを運ぶ時に、腕がぶつかったり、急に落ちてきたものを支えたりするので、打撲ありと考え治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)と桂枝茯苓丸加ヨクイニン(けいしぶくりょうがんかよくいにん)を飲んでもらいました。

1ヶ月、2ヶ月と飲むうちに、腕の痛みは軽くなり、腕が上方に上がるようになりました。

治打撲一方の代わりに、葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう)、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)などを飲んでいる方もいます。

首の後ろが凝り、張っている方は、葛根加朮附湯、冷えて腕が痛い方は、桂枝加朮附湯です。

力仕事を止めれば、症状は軽快するのでしょうが、患者さんが言うには、「完全休養するより、多少なりとも腕を動かしている方が調子がいい」と。

関節可動域が固まらない程度の動きは必要なんでしょうね。

二朮湯(にじゅつとう)など、まだ他も手があります。

 

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