9月は黄ごん

オウゴン.jpg

シソ科の多年草、コガネバナの根です。

赤紫色の花がかわいらしいです。

含有成分は、フラボノイドのバイカリン、バイカレイン、オウゴニン等です。

黄ごんは消炎解熱剤です。

漢方的には、清熱燥湿:下痢、嘔吐、瀉火解毒:黄色の痰やのぼせの鼻出血、安胎:妊娠中におなかに熱がこもるのを防ぎ、胎児の生育を守る、となっています。

西洋医学的には抗炎症、抗アレルギー作用が認められています。

また、抗酸化作用、粥状動脈硬化の予防作用、高脂肪食による高脂血症改善作用等が報告されています。

 

8月は茵蒿

i.インチンコウ.jpgインチンコウ.jpg

 

茵蒿は、いんちんこう、と読みます。

キク科の多年草、カワラヨモギの若い葉または果実です。

冬を過ごしても枯れず、春になると前年の株から新芽が伸びるので、茵と名付けられました。

消炎性利尿剤で黄疸に使います。

便秘による吹き出物や蕁麻疹などにも使います。

慢性肝炎の線維化を防ぐという報告もあり、小柴胡湯(しょうさいことう)だけでなく一度使ってみる価値はあります。

 

7月は厚朴

コウボク2.jpgi.コウボク.jpg

 こうぼく、と読みます。

もくれん科の落葉高木、ホオノキの樹皮が薬用部位です。

この木が質朴(飾り気がないこと)で、皮が厚いことから厚朴の名前があります。

肉厚で、茶色が非常に濃く、香りが強いものが良品だそうです。

近年、中国産の品質の低下が著しくなかなか良品はないそうです。

マグノール、ホオノキオール、精油、タンニン、アルカロイド等が含有成分です。

利尿、止瀉、鎮咳、整腸、消化薬、胸腹部の膨満感、腹痛などに応用されます。

カラダの中で滞ったものを下向けに解除して動かすようなイメージのある生薬です。

大承気湯(だいじょうきとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、神秘湯(しんぴとう)、柴朴湯(さいぼくとう)等の含まれています。

 

6月は山薬

i.サンヤク.jpgサンヤク.jpg

ヤマイモ科の多年草、ナガイモまたはヤマノイモの肥大した根茎です。

ほとんどが中国産で、青森県産も一部使われています。

一般に日本の野生のものはヤマノイモまたは自然生と言い、中国から渡来した栽培品種をナガイモと言います。

山薬は滋養強壮剤として有名ですが、消化器機能が低下して食欲不振、だるさ、軟便、水様便にも用います。

作用は決して強くありませんが、薬性が非常に穏やかですからじっくり長期に使えます。

まれに山薬アレルギーの方がいます。

啓脾湯(けいひとう)、六味丸(ろくみがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)に含まれています。

 

 

 

 

 

 

 

5月は黄耆

オウギ2.jpgi.オウギ.jpg

 

おうぎ、と読みます。

中国産または朝鮮産マメ科の多年草、タイツリオウギ、モウコオウギの根を使います。

黄耆の耆(ぎ)は、“長”という意味です。

補薬(ほやく、エネルギーを補う)としての長だからこう呼ばれるそうです。

根の性状は長い棒状で柔らかく、外部は淡褐色から黄褐色、内部は黄白色で、味はねっとりとして甘く特有の香りがあります。

消化器、呼吸器の機能低下による無力感や泥状便などに用います。

体力が低下し、カゼにかかりやすい、汗をかかない(かきすぎる)にも効きます。

皮膚の化膿、傷の治りを促進させることもできます。

 

 

 

4月は陣皮

i.チンピ.jpgチンピ2.jpg

 

ちんぴ、と読みます。

ミカン科の温州ミカンの皮(成熟した果皮)です。

日本では完熟期に採取した芳香が強いものを良品とします。

中国では、1年以上寝かせたものを良品とします。

ヘスぺリジン等のフラボノイド類が活性成分です。

シネフリンは、血圧上昇、脂質代謝亢進作用を持つため、ダイエット健康食品に含まれています。

大量に摂取するとアレルギーを起こすことがあるそうです。

陳皮は、温性と言ってカラダを温める作用があるため、通常暑がりの人には向いていません。

漢方では芳香健胃薬として用いられます。

他に、カゼ薬、去痰薬、鎮咳剤、食欲不振、吐き気等にも使われます。

 

 

 

3月は辛夷

シンイ2.jpgシンイ.jpg 

 しんい、と読みます。

もくれん科の落葉高木の花蕾が薬用部位です。

3−4月頃の開花直前の蕾を採取して陰干しをします。

漢方では、鎮静、鎮痛剤として、頭痛、歯痛に用います。

鼻炎、副鼻腔炎(畜膿:ちくのう)にも有効です。

私は、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)を外来でよく使っています。

ドロドロとした鼻水が詰まっている時に飲むと、4−5日目にはドッと出てきて、最後にスッキリします。

 

 

2月は茯苓(ぶくりょう)

i.ブクリョウ.jpg

 

サルノコシカケ科の菌類で、アカマツなどの根に寄生するマツホドの菌核です。

6−10月に地中にある菌核を掘り下げ、水洗いし外皮を取り、ぶつ切り、サイの目に切って日干しします。

水分調整薬として有名です。

利尿剤として知られ、胃内停水、心悸亢進、めまい、筋肉の間代性けいれんなどに用いられます。

食欲不振、膨満感、腹鳴(おなかゴロゴロ)、泥状便、吐き気にも有効です。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、五苓散(ごれいさん)、四君子湯(しくんしとう)、加味逍遥散(かみしょうようさん)などに入っています。

 

 

 

 

1月はブシ

i.ブシ.jpgブシ2.jpgブシ.jpg

 

きんぽうげ科、山野のやや湿った林中に生える多年草です。

トリカブトとして有名です。

薬用部位は塊根(有毒)です。

秋に地上部が枯れる頃に子根を採取し、岩塩水につけた後、ゆでたり、蒸したりして加工を加え毒性を弱くします。

附子(ぶし)は母根である烏頭(うず)に附いて生じるので、附子と言います。

この植物の汁液が毒矢に使われたことがあったそうです。 

野生のものを縦割りにして噛むと口の中は熱くなりしびれ始め数時間から半日続きます。

含有成分は、ヒパコニチン、アコニチン、メサコニチンなどの多数の強毒性アルカロイドです。

アコニチン類は有毒で、呼吸中枢麻痺、心伝導障害、知覚および運動神経の麻痺などを引き起こしますが、漢方で常用される薬用量では、衰弱した新陳代謝機能を回復させ、強心、鎮痛、利尿作用を持ちます。

1日使用量は0.5から2gとされていますが、高齢者ではもっと多い量を使うこともあります。

小児に使うことはあまりありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月は桃仁

i.トウニン.jpgトウニン.jpg

 

とうにん、と読みます。

バラ科の落葉小高木、モモや山桃の種子を薬用に使います。

果実を6−7月の成熟期に摘み、種子を日干しにします。

水性エキスには、ウサギでは血液凝固時間の延長が認められました。

漢方では炎症を消す駆おけつ剤(微小循環改善剤)として、月経不順や困難、下腹部の膨満、痛みに使われます。

あと、打撲等の腫れ、痛みにも用いられます。

また腸管乾燥の便秘に用いられます。

微小循環障害に効く薬にはこの桃仁が入っていることが多いです。

 

 

 

11月は大黄

i.ダイオウ.jpgダイオウ.jpg

 

だいおう、と読みます。

タデ科の多年草です。

薬用部位は根茎です。

夏季に根茎を掘り上げ、細根と粗皮を除き陰干しにします。

別名:将軍と呼ばれるほど、その作用は峻烈です。

うまく使えばこれほどの働き者はいないと言われています。

大便をうまく出してくれると同時に、小便も出し、しこりを取り、熱を冷ましてくれます。

熱を冷まして精神的な面にも使えます(向精神作用)。

発熱や熱感のある便秘、腹痛、高熱に使います。

熱感のある眼の充血、ノドの腫れ、鼻出血に使います。

炎症性の皮膚化膿症に効きます。

有名なのは、便秘に有効だということです。

大人の便秘に使う漢方薬に入っています。

桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)、大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)が実際よく使われます。

 

 

 

10月はゴシュユ

i.ゴシュユ.jpgゴシュユ.jpg 

 

みかん科の落葉低木のゴシュユおよびその変種ホンゴシュユの未成熟な果実です。

中国産で粒の小さい黒色を呈した、辛味の強い、苦いものが良いとされます。

国内産のものも存在します。

アルカロイドのエポジアミン、ルテカルピン、ジネフリン等が含有されてます。

薬効として、水性エキスは気分を落ち着かせ、痛みを止める作用があります。

漢方では、冷えが原因の頭痛、四肢の冷え、下腹部の痛み、月経痛等に使われます。

これは苦いです。

片頭痛でこれを飲むとスパッと効く人がいます。

苦いけど飲めるとおっしゃいますが、苦いものは苦いです(飲んで合う人はどうぞ使ってください)。

 

 

 

 

 

 

 

9月は地黄(じおう)

i.ジオウ.jpgジオウ.jpg 

 

ゴマノハグサ科です。

薬用として栽培される多年草です。

肥大した根があります。

薬用部位はこの根で、掘り取った根を日陰の砂地に蓄えたものを鮮地黄(せんじおう)と呼びます。

鮮地黄を砂地から取り出して火力乾燥したものを生地黄と呼びます。

強壮解熱薬として糖尿病、前立腺肥大症、老人性腰痛、インポテンツ等に応用されます。

漢方的な解説は、清熱涼血といって慢性的な夜間発熱や病後の持続性の微熱、熱感を伴う鼻出血、血尿、性器出血に使われます(三物黄ごん湯など)。

滋陰補血といって慢性的なノドや口唇の渇き、糖尿病症状類似の口渇、多飲に用います(八味地黄丸など)。

八味地黄丸(はちみじおうがん)は若返りの漢方薬です。

飲んですぐ効くというのではなくて数ヶ月飲んでおくとジワジワ効いてきます。

40歳から老化は始まっています(生まれた瞬間から老化は始まっていますが) 。

元気が出てきます。

 

 

 

 

 

 

 

8月は生姜、乾姜(しょうが)

カンキョウ.jpgショウキョウ.jpgi.ショウキョウ.jpg

 

ショウガ科で草丈30−50cmの多年草です。

その根茎をそのまま乾燥させたものを生姜、蒸してから乾燥させたものを乾姜と言います。

ショウキョウとは生のヒネショウガのことです。

含有成分は辛味成分としてジンゲロン、ジンゲロールです。

唾液中のジアスターゼの作用を促進し、また殺菌作用も有します。

乾姜に多く含まれるショーガオールには、ラットの腸管血流の増加作用のほか、脂質代謝促進作用があり、メタボリックシンドロームに対する有用性が期待されています。

芳香性健胃、矯味、矯臭、食欲増進、腹痛、腰痛用に用いられます。

冷えが原因に嘔吐に使います。

生姜が入った漢方薬は、小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)、二陣湯(にちんとう)、六君子湯(りっくんしとう)です。

乾姜は消化器が冷えて痛む、消化の悪い下痢、嘔吐に用います。

人参湯(にんじんとう)が有名です。

附子(ぶし)と共に四肢の冷え、ショック症状に使います。

四逆湯(しぎゃくとう)があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月は山椒

サンショウ.jpg i.サンショウ.jpg

 

さんしょう、です。

みかん科の落葉低木です。

薬用部位は果皮です。

秋に成熟果実を採集して果柄、種子を除いて日干しにします。

山椒は日本の食卓にもあがる有名な食品ですが、生薬でもあるのです。

私たちは知らず知らず生薬を食しているのです。

辛味成分には、殺虫、解毒作用があります。

芳香性健胃、整腸、利尿作用等もあります。

漢方では食欲不振、消化不良、胃下垂等に用いられます。

冷えにいる激しい腹痛、嘔吐、食欲、不振に良いです。

外用としては煎じ液を湿疹や女性陰部のかゆみに使うそうです。

 

 

 

細辛

サイシン2.jpgサイシン.jpgi.サイシン.jpg

 

さいしん、と読みます。

うまのすずくさ科の多年草です。

根および根茎が薬草部位になります。

この草の根が細く味が極めて辛いから、細辛と名前がつきました。

根は噛むと山椒のように辛く、舌を麻痺させます。

漢方では、鎮痛、鎮咳、去痰、利尿薬として感冒、気管支炎に使われます。

頭痛にも効果があります。

細辛の入った漢方薬は以下のごとくです。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう):感冒、アレルギー性鼻炎、疲れた大人のカゼ、冷える人のカゼに用います。

小青竜湯(しょうせいりゅとう):鎮咳、去痰に使います。アレルギー性鼻炎、鼻カゼにもよく使います(小児科では)。

当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう):冷え症

小児科では、水鼻がどんどん出てくる時に使ったりします(花粉症でも使います)。

 

 

5月の漢方薬 半夏

ハンゲ.jpgi.ハンゲ.jpg 

 

はんげ、と読みます。

サトイモ科の多年草のガラスビジャクのコルク層を除いた根茎です。

陰暦5月に生じるとありますので、この時期が夏の半ばだから、半夏と呼ばれます。

粒の大きい、丸く白い皮のとれやすいものが良品で、質が硬いものや皮が褐色のものは下品です。

噛むと初めはわずかに甘いですが、やがてえぐみがひどく出てきます。

口の中が栗のイガイガで刺激されたような痛みを感じると言います。

半夏は、鎮吐(吐き気を抑える)、鎮咳(咳を止める)、去痰(痰を除く)等が薬効として知られています。

精神にも効きます。

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)に使われています。

おなか、ノドがつかえる、なんて時に本当にカゼで炎症がある、さらに精神的につかえている所も一緒に治してくれる、そんな効き方をしてくれます。

半夏瀉心湯は、「おなかの膨満すようなつかえ感」をすっきりさせてくれますので、胃腸炎に使います。

半夏厚朴湯は、「ノドに何かつかえた感じがしてすっきりしない」のに効きます(うちでもこの漢方薬のファンがいます)。耳鼻科で検査しても何もつかえていません。

半夏白朮天麻湯は、「めまい」に使います。めまい、頭痛には使えます。小学生にも使ったことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

杏仁

キョウニン.jpgi.キョウニン.jpg 

 

きょうにん、と呼びます。

バラ科の落葉高木のホンアンズおよびその変種アンズの種子です。

桃仁(とうにん)と同じバラ科で、姿、形、味も似ています。

杏仁は胸中(咳などの胸部の症状)に働き、桃仁は下腹部に働きます。

杏仁のベンツアルデヒド様の香りは、その特異な苦みを鎮咳去痰に用いるキョウニン水を考えればわかりやすいです(キョウニン水という咳止めの水薬があります)。

咳、ゼロゼロとしたものが得意です。

気管支喘息にも使います。

腸管が乾燥した便秘にも効果があります。

小児科ではよく使う麻黄湯(まおうとう)、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)に含まれています。

 

 

石膏(せっこう)

 

 セッコウ.jpg

 

天然の含水硫酸化カルシウム(CaSO4・ 2H2O)です。

光沢のある純白色の束針状結晶で、指頭でほぐすことができます。

青石を含んでいないのが良品とされます。

漢方では、炎症性疾患の解熱、渇きを止める、鎮咳(ちんがい、咳をしずめる)を目的に使います。

桂枝、麻黄、石膏の組み合わせは汗をどんどんかかせます(大青竜湯、桂枝二越婢一湯)。

麻黄、石膏の組み合わせは、汗をかかせるのはなく、利尿作用で熱を除くことになります。

あと、清熱(熱をさます)作用と滋潤(うるおす)作用があります。

外来では、扁桃炎等のノドの炎症に小柴胡湯加桔梗石膏を使うことがあります。

また桔梗石膏をアトピー性皮膚炎等の真っ赤な、痒みの強い皮膚に使います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

牡蛎(牡蠣)

ボレイ.jpg

  

2月は牡蛎(ぼれい)です。

ボレイと言うのは、いぼたがき科の貝殻を葉状または薄い小片状に砕いたものです。

貝殻を飲んでみようというのがすごいというかビックリです。理解できないです(?)。

牡蛎はオスだけしかなくてメスがないんです。

和名のカキは。この貝を石から掻き落として捕るから、あるいは、欠き砕いて捕るから付いた名とも言われています。

漢方では、精神安定、不眠、寝汗等に用いられています。

これが入っている漢方薬は、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、桂枝竜骨牡蛎湯(けしかりゅうこつぼれいとう)があります。

いずれも精神的なところに効いています。

 

黄柏(おうばく、きはだ)

i.オウバク.jpgオウバク.jpg

 

 

1月は、黄柏です。

ミカン科落葉高木キハダやシナキハダの樹皮です。

和名のキハダは黄膚のことで、幹の内皮が黄色いことによります。

皮が厚く、深黄色で極めて苦いのが良いそうです。

噛むとネバネバです。

黄色はベルベリンと呼ばれるアルカロイドで、強い苦みがあり、苦味健胃薬として有名です。

ベルベリンは広い抗菌スペクトルを持つので、腸内の細菌のよる下痢に効きます。

胃と腸に同時に効くすぐれた胃腸薬です。

さらに都合の良いことにベルベリンは消化管から吸収されませんので、胃腸薬として働いた後は大部分がそのまま排泄されます。

キハダの内皮(黄柏)を煎じた汁を煮詰めたエキスは、不意の腹痛、下痢に最適として、昔は旅に出る時の懐中薬や家庭の常備薬とされました。

漢方では、健胃薬ではなく、下半身の炎症や充血をとる薬と考えています。

 

 

麦門冬 

 i.バクモンドウ.jpgバクモンドウ.jpg

 

 「ばくもんどう」と読みます。

ゆり科の多年草です。

根の一部が紡錘状に肥厚します。

根茎が薬用部位になります。

鎮咳去痰(ちんがいきょたん)剤で有名です。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)は乾いた咳、ノドがかさかさするような感じ、によく使われます。

咳こんで顔が真っ赤になる、声がかれる等の症状にも有効です。

この薬は甘いので飲みやすいです。

 

 

 

 

 

 

 

葛根湯のお話

カゼには 葛根湯と言いますが、カゼ薬ではありません。

と言っても私も5年前まで知りませんでした。

さまざまな作用がありますが、最初に覚えたのが、首から上の炎症に効くということです。

カゼに効くというのはよく知られていますが、結膜炎、中耳炎、畜膿症(副鼻腔炎)、肩こり、蕁麻疹、歯痛、夜尿症、乳汁不足などに使われます。

外来で顎関節が痛くて口が開かない、というお子さん2人に1-2日で効いた経験がありました。

顎も首から上ですものね。

整形外科では、肩こりに処方されますが、小児科でもパソコン、ゲームばかりをやっていて首が痛い、肩が痛いというお子さんにも効きました。

乳汁分泌不全(おっぱいの出が悪い)の時に、お母さんに葛根湯を飲んでもらうと、うっ滞していたおっぱいが出るようになります。

また、乳腺炎を起こしている時は、乳房の炎症を抑えておっぱいが出るようになります。

 

参考) 

 葛根湯を飲んで効果発現までの時間は、

カゼ:5分で体が温まって30−40分で解熱

肩こり:1−2時間で、体が熱くなり、発汗して肩こりが解消

乳汁分泌不全:8−12時間で乳汁分泌が盛んになる

副鼻腔炎:3−7日で効き始めるが、十分な効果が出るまで数ヶ月

 

 

薬は、温めて飲むことが大事です。

私は最初ずっと冷たい水で飲んでいました。

全く効かないので漢方って効かないじゃん!と思っていました。

お湯で飲んだら、すぐ効いたことがあります。

お子さんは、お湯では飲めませんので、とりあえず何でもよいから飲めたらほめる、また飲む、を繰り返すとうまくいきます。

1回に全部飲めなくても大丈夫、毎回半分ずつでも飲めたらほめてあげましょう(ほめない人が結構います)。

 

 476_3.jpg

 

 

 

 

 

11月の漢方 

ソウジュツ.jpgi.ソウジュツ.jpg

 

今月の漢方の生薬は、蒼朮(そうじゅつ)です。

蒼朮は、利水作用といって、体の水のバランスを整えることをしてくれます。

利水作用に関与する生薬は、他に沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)があります。

利水作用以外には、発散、健胃の作用があります。

キク科で、草丈30-80cnの多年草です。

薬用部位は、根茎です。

味はわずかに苦いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

人参

ニンジン2.jpgニンジン.jpg

 

人参(にんじん)です。

ウコギ科の多年草、オタネニンジンの根が御種人参です。

人参はもともと人浸と書いたそうです。

この草が長い年月がたって大きくなり、根が人の形をしていて神が宿るので人浸と書いたのだとか。

薬効を体内に効かせるという意味でもこう書いたんだそうです。

薬効:健胃、消化、滋養の目的で使われます。

これは甘いです。

人参湯(にんじんとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)など多くの漢方薬に入っています。

お子さんでは、急性胃腸炎で人参湯を使います。

おなかが冷える大人にも使います。 

 

9月の漢方薬  柴胡 サイコ

サイコ.jpgi.サイコ.jpg

セリ科の多年草、ミシマサイコの根です。

根は肥厚し、黄褐色ら黒褐色色。

若いときは茹でて食べられ、年数を経たものは採って柴にします。

和名は三島柴胡で、以前静岡県三島付近から産したので、この名があります。

柴胡は需要が多く、また高価であるので種々雑多なものが出回っています。

 

薬用部位:根

薬効と薬理:煎液に体温降下作用があります。中枢抑制、鎮痛、解熱、ストレス潰瘍の予防、胃酸分泌抑制、抗炎症、抗アレルギー作用等が認められます。

 

カゼをひいてこじれた時、精神症状にも効きます。

柴胡が入った漢方薬は多数存在します。

例えば、

小柴胡湯(しょうさいこうとう)は、一般には肝機能障害、肝炎の治療に使われるというイメージがあります。小児科では、それ以外にこじれたカゼで熱が上がり下がりしてすっきりしない時などに活躍します。

 

 

 

 

8月の漢方薬

当帰(とうき)

 

せり科、芳香性の多年生です。

薬用部位:根。根を11月頃に掘り上げ、水洗い後日干しにします。

 

昔は妻をめとるは胤(たね)を嗣(つ)ぐためであるとし、この草は血を調(ととの)えて女性の要薬となるので、結局は夫のところへ帰るべく思いやる意味があるとして、「当ニ帰ル レ点 夫ニ」の当帰になったと言います。

妊婦や産後の悪血上衝(悪い血がのぼる)を治して即座に効果があり、気血昏乱のあるものはこれを服するとすぐ治まる、と書かれています。

 

成人女性に使われる漢方薬に入っていることが多いです。

例)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、当帰四逆加呉茱湯生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

i.オウゴン.jpg

麻黄湯(まおうとう)

小児科の外来診療では欠かせない漢方薬の1つです。

構成:麻黄(まおう)、杏仁(きょうにん)、桂枝(けいし)、甘草(かんぞう)

 お子さんが発熱をしました。元気はあります。まだ汗はかいていません、悪寒(おかん、寒がること)、頭痛もあります。 

こういう時に発汗させて解熱をさせる薬です。

 

胃腸の弱い方は、短期間だけ使用することもあります。

 

普通のカゼにはもちろん、インフルエンザ(A,Bともに)にも使えます。

 飲み方の工夫(ココが大事!):短時間に早くカラダの表面を温めて汗をかかせるために、13回ではなくて(処方箋にはそう書いてあるが)、できれば3-4時間おきに飲むことです。2時間おきでも良いと言われますが、実際2時間おきでは、本人もお母さんも大変なことが多いです。皮膚が少しでもじっとり、しっとりと汗をかくか、おしっこがドバッと出れば内服を中止します。あと、体温が37.5℃以下に下がったら中止にするという目安もあります。解熱したのちお子さんが元気そうならこのままで治療中止で結構です。

たまに、解熱したかと思って内服を中止したら、昼―夕方からまた再び熱が出ることがあります。柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)や小柴胡湯(しょうさいことう)に切り替えて治療を続けます。

 

麻黄湯を使ってはいけない時

@    水分が不足してノドが渇いている

A    水分が不足して尿量が少ない

B    滲出傾向(ジュクジュクした)のある皮疹が出ている

C    鼻血、出血して貧血がある

   

今年の秋冬に季節性インフルエンザ、豚インフルエンザ(H1N1)が流行して、タミフル、リレンザでうまく治療が進まない時(解熱しないなど)、麻黄湯をはじめ漢方薬が活躍する場面が多く出てくると考えられます。

 

今から漢方に飲み慣れておくといいかも、です。

7月の漢方 「甘草」(かんぞう)

甘草(かんぞう)

 

マメ科

中国北部、モンゴル、シベリアにかけて分布します

草たけ30-80pの多年草です。

 

薬用部位:根およびストロン。春秋に根を掘り上げ、水洗いして干します。

 

味:甘い

 

薬効:@消化機能が低下している食欲不振、泥状便等に用います。

   Aノドの腫れ、痛み、皮膚の化膿に使います

   B咳の緩和に使います

   C腹痛、四肢のけいれん性の痛みに使います

   D薬物の毒性の軽減、方剤の調和に使います(こじつけですね)

  

甘草はツムラの漢方薬の7割に含まれています。

総合感冒薬で有名なPL顆粒の中にも入っているブスコパンという薬があります。

痛み止めとして単独でも発売されている薬です。

甘草はこのブスコパンと同じような効果も持っていて、ほとんどの漢方薬の中に入り込み胃薬の働きをしています。痛みをとり、胃粘膜を保護し、薬を飲みやすくしているのです。

ありがたい。