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漢方薬を治療に取り入れてまだ10年程度の駆け出しです。

日常診療で漢方を使う場面は数多くあります。

西洋医学が得意な分野はお任せして、西洋医学の治療でうまくいかないところ、漢方が得意なところに使っていきます(両者併用もあります)。

このホームページでは、なるべく専門用語や難しい言葉を使わないようにして、明日からすぐ飲んでみたくなる漢方薬の情報などを載せていきたいと思います。 

 漢方治療を始めてよかったこと 

 

1 西洋医学の行き詰まりを感じた時に、治療できること

2 全国の漢方を扱う先生と出会えたこと

3 漢方治療で治療経過がうまくいくと必ず喜ばれること

4 患者さんのカラダに触れる機会が増えて、コミュニケーションが良くとれるようになったこと(腹診、触診など)

5 患者さんがいろいろ教えてくれること(漢方薬を飲んでどうなったか、を本人、保護者が熱心に語ってくれる、こうしたら良くなったとかも教えてくれる)

6 合えばすぐ効く!ということ

7 患者さんが余計な抗生剤を飲まなくてすむようになったこと

まだまだ漢方の道では、駆け出しですが前向きに考えて進みます。

 

柴苓湯を使う

柴苓湯(さいれいとう)という漢方薬があります。

小柴胡湯(しょうさいことう)と五苓散(ごれいさん)を合わせた漢方薬です。

古典的には、「感染性の下痢(特に夏)で発熱を伴う例によい」と書かれています。

現在でも、急性胃腸炎やむくみに使われます。

うちでは、急性胃腸炎と滲出性中耳炎によく使っています。

昔から(私は30年前から)、小児の微小変化型ネフローゼ症候群のステロイド剤の減量に使っていました。

当時は、あまり理解もせずに上司の先生に言われて処方していました。

柴胡にはステロイド剤に似た抗炎症作用があるのは知られていますが、最近の西洋医学的アプローチでエビデンスも出てきています。

小児の胃腸炎では五苓散(ごれいさん)を使うことが多く、これで結構助かります。

それに小柴胡湯を追加することで、パワーアップしていると考えれば良いでしょうかね。

舌が真っ白になったり、肋骨付近の圧痛(漢方では胸脇苦満といいます)があれば、よく効く可能性が高いです。

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)などにも使われています。

 

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膀胱炎に漢方薬を

ここ2週間で3人膀胱炎の方が来られました。

中学生の女子、大人2人です。

急性膀胱炎と診断がつけば、ニューキノロン系抗生剤を処方するのが定番になっています。

ただ、それでは面白くない。

漢方薬も一緒に使ってみます。

猪苓湯(ちょれいとう)という漢方薬があります。

単純性の下部尿路感染症はかなり対処できます。

抗生剤で細菌の数を減らして、組織に起こった炎症を漢方薬で叩くのです。

抗生剤は3日間、漢方薬は7日間処方しています。

猪苓湯も3,4日で不要になることが多いです。

猪苓湯は、腰から下の浮腫(ふしゅ=むくみ)に有効です。

立ち仕事の方が夕方になると下肢がパンパンにむくんできます。

そんな時に使ってください。

 

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カゼに漢方薬だけでいいのか

カゼの原因はほとんどがウイルスですから、抗生剤はほとんど不要です。

だからと言って全く使わないわけではありません。

初診時にノドの所見を見て一発で溶連菌とわかることもありますから、抗生剤を処方します。

下痢が止まらない、血便も出てきたとなれば便培養をします。

細菌性胃腸炎を疑えば、結果を待たずして抗生剤を処方することがあります(これは西洋医学だけやっている先生でも培養の結果前に原因菌を想定して抗生剤を処方することはあります)。

10数年前までは、私は抗生剤をアホほど処方していた人間です。

今考えると恐ろしい程処方していました。

漢方に出会って、漢方薬をカゼに使うようになってから抗生剤の処方量は10分の1以下になりました。

なんだ、いらないじゃん!

なくてもカゼは治っていきます。

ただ対症療法ではカゼが長引くだけなので、漢方薬を使って短期間にキレイに治すことを目標に日常診療をしています。

先日、発熱3日目で受診された保育園児がいました。

今日で4日目となります。

40℃が持続しているわりには元気です。

発熱初日に近医(内科))を受診され咳止め、去痰剤を処方されました。

以後ずっと元気があり、よく食べれていたが発熱が持続していました。

採血をしたら白血球数18000、CRP8.0でした。

おそらく細菌性のカゼでしょうとなり、抗生剤の点滴、内服を開始したところ翌日から解熱傾向がありました。

外来で、まれにこういうケースがあります。

ですから抗生剤が全く不要ということではなく、適宜使用であります。

ただ、抗生剤を点滴したり、内服したからといってカゼの炎症がすべて治まるわけではありません。

患者さんがある程度は自分で治すのです。

ですから細菌性の感染症でも、抗生剤+漢方薬でいくと、抗炎症作用が強化できます。

 

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帯状疱疹に漢方薬

先月今月と帯状疱疹が続きます。

皆、疲れてるのね。

先月はお子さん(小学生)、今月は大人(働くお母さん)です。

今月の女性は前胸部から始まって、3日後の背部まで拡大しました。

これ以上悪化したら市民病院に紹介しようと思いました。

首から上にも広がらずに済んでいます。

休めば良いのですが、勤務のスケジュールの関係で治療開始から5日目までは休めない状態でした。

なので、カラダを休めていない状態で治療です。

抗ウイルス薬はしっかり内服していただきながら、漢方薬を追加です。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)+茵陳五苓散(いんちんごれいさん)ろいう先生もあれば、黄連解毒湯の代わりに三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を使う先生もおられます。

私は、越婢加朮湯を使いました。

この組み合わせは、紅色蕁麻疹にも有効です。

発赤を抑え、神経の浮腫を改善し、神経痛を起こりにくくする方針です。

この方は、抗ウ剤の点滴を追加して(1日1回しかできませんでしたが)、治療開始3日目から急速に皮疹が乾燥して発赤が消退しました(干からびた感じ)。

7日目からは、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)+四物湯(しもつとう)で帯状疱疹後の神経痛に対応します。

抗ウ剤+漢方薬で予後は改善する例が多いです。

アロディニアまで進行した患者さんは、幸いうちにはいません。

 

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小児と漢方薬

先日雑誌の取材を受けました。

赤ちゃんに漢方薬を飲ませていいのか、漢方薬が本当に効くのか、必要性があるのか、、、、などの話に及びました。

大都会東京でもまだ小児に漢方薬が必要ですか?と聞かれるレベルなんだと。

小児に漢方薬は有効だぜ、と言うことをもっと啓蒙していかなくてはならないと、決意を新たにした次第です。

聞けば、東京でも小児に漢方薬を処方してくれる先生が少ないんだと、どうやって探せばいいんですかと。

住んでいる人口に比較してくと、少ないんでしょうね。

うーん、なかなか問題が山積みです。

しかし、一歩一歩前に進むしかありません。

まずは目の前の患者さんにきちんと対応して漢方に関する情報をお母さんに伝えること。

次に、お母さん方から、漢方薬は小児でも結構使えるよ、カゼなんかにはもってこいだよ、と拡散してほしいです(うちの常連さんたちにはやってもらっていますが)。

あとは紙媒体、ネットを通じて広める、お母さん相手のセミナーなどをやっていきます。

小児の漢方に関する学会、研究会が一般講演会を開くなどしてほしいです。

1人でできることは限られています。

仲間を集めてドンドン小児に漢方薬が使える場が広がるように努力します。

西洋薬が使えて、漢方薬も使える。

現代医療としては、二刀流が最強なのではないですかね。

 

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