img_info_kanpo-gairail2.png

漢方薬を治療に取り入れてまだ10年程度の駆け出しです。

日常診療で漢方を使う場面は数多くあります。

西洋医学が得意な分野はお任せして、西洋医学の治療でうまくいかないところ、漢方が得意なところに使っていきます(両者併用もあります)。

このホームページでは、なるべく専門用語や難しい言葉を使わないようにして、明日からすぐ飲んでみたくなる漢方薬の情報などを載せていきたいと思います。 

 漢方治療を始めてよかったこと 

 

1 西洋医学の行き詰まりを感じた時に、治療できること

2 全国の漢方を扱う先生と出会えたこと

3 漢方治療で治療経過がうまくいくと必ず喜ばれること

4 患者さんのカラダに触れる機会が増えて、コミュニケーションが良くとれるようになったこと(腹診、触診など)

5 患者さんがいろいろ教えてくれること(漢方薬を飲んでどうなったか、を本人、保護者が熱心に語ってくれる、こうしたら良くなったとかも教えてくれる)

6 合えばすぐ効く!ということ

7 患者さんが余計な抗生剤を飲まなくてすむようになったこと

まだまだ漢方の道では、駆け出しですが前向きに考えて進みます。

 

食道に有効な漢方薬

食道に特異的に有効な漢方薬があります。

茯苓飲(ぶくりょういん)です。

最近もっぱら胃食道逆流症の方に使っています。

胃酸が逆流して、胸やけ、ゲップ、灼熱感が止まらない方が内科で診断されます。

胃薬が処方され大半の方は治っていきます。

が、しかし一部の方は、症状がスッキリ治らず困っています。

再度内科の先生に相談して薬を変更してもらったりします。

それでも治らないので、また内科に行くと、「検査は異常ないんだけどな、これ以上訴えが止まらない、治らないなら精神科へ行きます?」なんて言われます。

患者さんは、『俺、精神科に行く病気じゃないのにな』と感じています。

精神科の薬で治る方もいますが、一向に変わらないことが多いです。

そこに漢方薬をはめ込んでみます。

茯苓飲は、食道の順蠕動を改善する漢方薬です。

胃を一部切除した、全摘した方も含め、食道への逆流をサッと治します。

これは、なかなかの隠れた名方だと思っています。

西洋薬に加えて飲んで構いません。

一度試してみてください。

 

109458916_thm.jpg

オジサン系とオバサン系

足がむくんだ人がいます。

筋肉質でガッチリした体格の人(大半は男性)の足がむくんだという場合は、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を使います。

これは痛風、リウマチ、虫さされの時にも有効な漢方薬です。

むくむ、と言っても硬い感じです。

これをオジサン系と言います(師匠の井齊先生が提唱した名前)。

一方、水太りでブヨブヨしていて、汗かきな人がいます。

膝も大きく水が溜まって正座ができなくなる人です。

こういう人のむくみは、猪苓湯(ちょれいとう)、茵陳五苓散(いんちんごれいさん)、防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)を使うとうまく行きます。

これをオバサン系(表現が失礼かも知れませんが、わかりやすいかと)と言います。

足がむくむ、と言われた時は、まずどちらのタイプの方かなと考えて処方します。

男性でオバサン系は少ない?

女性でオジサン系はいるような。

足のむくみの相談が最近多く、あれこれ試してもらっています。

 

109635528_thm.jpg

症例問題を作ると

今年も秋に岐阜大学の漢方セミナーを依頼されました。

張り切って準備を始めました。

3回シリーズのうち2回を症例問題を解説することにしました。

作り始めてわかったのですが、偉い先生方が以前作ったものと内容がそう変わらないんです(苦笑)。

要は、私が上手に作っているということではなくて、この漢方薬を知ってもらいたいなー、なかなか使い勝手がいいんだけどなー、とか思うとその漢方薬の定番の使い方を御紹介することが多くなってしまいます。

あまり稀なケースばかりを提示しても参考にならないだろうと思ってしまいますから。

すると、何が起こるか?

その漢方薬に辿り着くように、症例問題の内容が誘導する、誘導する(笑)。

うーん、困ってしまいました。

おそらく定番ではコレでしょう、でもコレでもアレでも患者さんが治るならば良いですよね、という答えの幅を持たせる内容に作り変えています。

大学の先生方が学生さんにテスト問題を作るのに苦労するんだな、と今さらながらに感じました。

診療の現場で遭遇する場面で使える漢方薬、ちょっと知っていると助けになる漢方薬などをピックアップしていけたらと思います。

まだまだ悪戦苦闘が続きます。

この症状ならこの漢方薬じゃなきゃいけない、とならないところが漢方の面白いところです。

3人の先生が1人の患者さんを診て、3人とも処方した漢方薬が違うことは普通にあります。

アプローチが異なっても患者さんが治っていくなら、どの道を通って行ってもオッケイということです。

 

109622668_thm.jpg

 

 

虫垂炎に大黄牡丹皮湯

大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)という漢方薬があります。

体力があって、下腹部痛、便秘しがちな人の、月経不順、月経困難、便秘、痔に適応があります。

うちでは、便秘、月経不順に使っている人、大腸憩室炎に使っている人がいます。

おなかの診察で右下腹部に圧痛があるとよく効くと昔から言われています。

科学的根拠は不明ですが、確かに右下腹部痛には有効なことが多いです。

それを考えると、虫垂炎(盲腸)は通常右下腹部にありますから、右下腹部痛が起こる虫垂炎には効きそうですよね。

実際、手術するほどでもない虫垂炎は抗生剤+大黄牡丹皮湯で治っていきます。

大腸憩室炎でも右下腹部痛には効いている印象があります。

左は効かないかというと、そうではありません。

左下腹部が痛くて、頑固な便秘がある時は、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)が有効です。

女性で便秘がち、月経に関するトラブルがあり、イライラしている人には、時々劇的に効きます。

お通じも大変良くなります。

一度お試しください。

 

20170815_1687722.png

おできができた

お盆休みでドッと疲れが出ました(休んでいるのに疲れる)。

疲れると私は顔の周囲や大腿におできができます。

あー、しんどいんやな、自分ってわかります。

今回は左大腿背側にできたおできが痛くて、パンパンに腫れています。

つぶすにはまだ硬い、先端に少し膿(のう=うみ)が見えます。

はい、こういう時は排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)です。

ここ数日間痛かったおできが消えはしませんが、痛みが激減します。

私は2日間飲むと、ほぼおできが消えます。

ありがたいことです。

抗生剤、軟膏は一切使っていません。

早めに対処すれば、こうやって治すことも可能です。

膿が大きく、いかにもはじけそうな場合は、排膿散及湯を飲むと、自分ではじけて(自潰:じかい)してしぼんでいきます。

抗生剤を飲んだり、化膿止めの軟膏を塗っても構いません。

夏場はとびひ(膿痂疹)に限らず、化膿性皮膚疾患、歯槽膿漏、各部位の化膿した病変があれば使えます。

1週間は続けると効果がわかります。

1週間以上使っても効果が出ない場合は、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)など他の手を考えないといけません。

 

33348520_thm.jpg