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漢方薬を治療に取り入れてまだ10年程度の駆け出しです。

日常診療で漢方を使う場面は数多くあります。

西洋医学が得意な分野はお任せして、西洋医学の治療でうまくいかないところ、漢方が得意なところに使っていきます(両者併用もあります)。

このホームページでは、なるべく専門用語や難しい言葉を使わないようにして、明日からすぐ飲んでみたくなる漢方薬の情報などを載せていきたいと思います。 

 漢方治療を始めてよかったこと 

 

1 西洋医学の行き詰まりを感じた時に、治療できること

2 全国の漢方を扱う先生と出会えたこと

3 漢方治療で治療経過がうまくいくと必ず喜ばれること

4 患者さんのカラダに触れる機会が増えて、コミュニケーションが良くとれるようになったこと(腹診、触診など)

5 患者さんがいろいろ教えてくれること(漢方薬を飲んでどうなったか、を本人、保護者が熱心に語ってくれる、こうしたら良くなったとかも教えてくれる)

6 合えばすぐ効く!ということ

7 患者さんが余計な抗生剤を飲まなくてすむようになったこと

まだまだ漢方の道では、駆け出しですが前向きに考えて進みます。

 

いまさらですが

夏バテ防止、夏バテになったら、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。

〇〇ドリンクを飲みたいなー、と感じた時に補中益気湯を飲みます。

常連さんは、今月初旬から内服を開始しています。

カラダがだるい、起き上がれない、食べられないが使用目標です。

1回1包、1日2回は飲みましょう。

3回飲むのは普通です。

ちなみに私も補中益気湯を飲んでいます。

昼間バタバタしていると飲み忘れることがありますが、1日2回は飲んでいます。

これを飲んでいてもだるい時は、カラダの限界なので休みます(寝ます)。

ここ4年、5年は補中益気湯を飲み続けていますが、基本、“元気”です。

夏カゼをひいた、高熱が出た、2日で下がった、でも食べない、というお子さんには補中益気湯を飲んでもらいます。

お子さんは復活が早いことが多いので、1包飲んだだけで急に食べ始めることもあります(コレ本当)。

大人も同様です。

自覚症状があれば、1回1包、1日3回、2週間は飲んでみます。

何となく元気やん、と感じたら自分に合っています。

夏場の2ヶ月はしっかり飲んでおきます。

 

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便秘に使う漢方薬

人によって漢方薬が異なります。

下剤で、ほぼコントロールがついているが、時々うまく出ない、残便感があるから時々漢方薬を追加する人。

下剤を飲むと下痢になったり、おなかが痛くなったりするから漢方薬だけでいきたい人。

事情が違います。

先日来られた方は、コロコロした便ばかりで、下剤ではスッキリしないと。

30代女性で、おなかも張っていません。

潤腸湯(じゅんちょうとう)で、コロコロ便にならず、スッと出るようになりました。

高齢の方は、麻子仁丸(ましにんがん)がベターです。

月経に関するトラブルが多い人で、相当イライラ、カリカリしている恰幅の良い40代女性。

左下腹部が張っており、触るだけで痛くて飛び上がります。

こういう方は、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)です。

飲んで2日目から、お通じが良くなり、気分が良くなりました。

月経も軽くなり、一気に漢方ファンになりました。

月経に関連して精神的にイライラ、暴言を吐く人、やや派手な格好で、一方的にしゃべる人がいます。

こういう方には、加味逍遙散(かみしょうようさん)をお出ししました。

飲んで1週間経った頃から、機嫌が良くなり、便秘が解消しました。

何と言っても、月経の前後でイライラしなくなってきました。

本人も家族もホッとしました(笑)。

まだまだ便秘に使える漢方薬があります。

ケースバイケースで出す漢方薬が違います。

あれこれ試すのが良いです。

 

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香蘇散で耳鳴が軽快した1例

漢方外来で、今一番苦労しているのが「耳鳴り」です。

耳鼻科では特に異常はありません、と言われます。

耳鳴にはコレ!という漢方薬はありません。

経過、体質などを追いかけていって、あれこれと試してもらいます。

以前には、加齢に伴うものだろうと考え八味地黄丸(はちみじおうがん)を処方したところ、顕著に症状が改善した例がありました。

しかし、その他の大半の方は、ちょっといいかな程度の治り方が多いです。

私の力量不足です。

最近の患者さんです。

46歳女性です。

約1年前から右耳の耳鳴が始まりました。

ブーンという音が聞こえます。

耳鳴発症後に低音性難聴を発症し耳鼻科通院中です。

既往歴:双極性障害(軽症)、パニック障害、脂質代謝異常症、アレルギー性鼻炎

下半身は冷える、上半身はのぼせる、食欲ある、便秘なし、排卵時の頭痛、肩こりがひどい、目がかすむ、皮膚は乾燥する

舌下静脈の怒張あり、心窩部に軽度の圧痛(心下痞鞭)あり、臍の両側やや下方に圧痛点(血の圧痛点)あり。

やや抑うつ気味、小さな声でボソボソと話をされます。

女性としての微小循環障がいの改善を狙って五積散(ごしゃくさん)を処方しましたが無効でした。

肩こりに桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)を頓服で試してもらいましたが、これも無効でした。

2週間後再診のときに、「耳鳴があると気が滅入る、もうちょっと変わるといいなー、少し気にならなくなればねー」と。

気分が少し明るくなればと思い、香蘇散(こうそさん)に変更しました。

1ヶ月後再診。

「香蘇散良かった、気持ちが楽になったー、耳鳴りはあるけど」

印象は良いようでしたので、香蘇散を1回1包、1日2回で内服続行としました。

香蘇散を少し続けてもらおうと思います。

 

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6ヶ月前から続く顔面のほてり

48歳女性です。

半年前から突然顔がほてり始めました。

明らかな原因はありません。

ほてりが認められるときは、発汗、口渇を伴います。

既往歴:子宮筋腫の手術、花粉症(現在、抗アレルギー薬を内服中)

食欲はありすぎる、便秘なし、足は冷える、腰痛あり、下肢がしびれる、首、肩が凝る。

デスクワークをしているときは冷房でカラダが冷えるが、動けば冷えを感じません。

最近は疲れやすいので、これも気になると。

診察では特に異常もなく、漢方的な診察でも特記することがありません。

顔面のほてり、口渇を目標に白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)を処方しました。

2週間後再診。

「全然良かった!」

疲れやすいを目標に出した補中益気湯(ほちゅうえっきとう)も合ったようです。

夏はこれでいきますと。

 

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リンパの流れ

45歳女性です。

カゼで通院しているお子さんのお母さんです。

2年前に右乳がんが見つかり全摘をしました。

抗がん剤(タモキシフェンなど)を使用して治療、フォロー中です。

経過は順調なのですが、右腋窩のリンパ節廓清を行った影響で、右上肢のリンパ液の流れが悪くなり、パンパンに腫れています。

冷えなし、便秘なし、食欲普通、体格は良くやや太り気味、非常に汗をかき、首、肩が凝る、ほてりななし

以前にも同様のケースがあり、難渋した記憶があります。

右上肢のリンパの流れが悪く、皮膚が緊満した状態で張っているので、まずは越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を使いました。

実は、葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう)にしようと思っていましたが、皮膚の炎症、張り具合をみて、後日の選択肢にしました。

越婢加朮湯に桂枝茯苓丸加ヨクイニン(けいしぶくりょうがんかよくいにん)を追加しました。

これは上肢の微小循環を改善しようという魂胆です。

内服して2週間後。

「皮膚の張りが減りました。指で皮膚をつまめるようになりました。

もう少しこのままで経過をみることにしました。

皮膚の経過を見ながら、処方を考えていきます。

 

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