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漢方薬を治療に取り入れてまだ10年程度の駆け出しです。

日常診療で漢方を使う場面は数多くあります。

西洋医学が得意な分野はお任せして、西洋医学の治療でうまくいかないところ、漢方が得意なところに使っていきます(両者併用もあります)。

このホームページでは、なるべく専門用語や難しい言葉を使わないようにして、明日からすぐ飲んでみたくなる漢方薬の情報などを載せていきたいと思います。 

 漢方治療を始めてよかったこと 

 

1 西洋医学の行き詰まりを感じた時に、治療できること

2 全国の漢方を扱う先生と出会えたこと

3 漢方治療で治療経過がうまくいくと必ず喜ばれること

4 患者さんのカラダに触れる機会が増えて、コミュニケーションが良くとれるようになったこと(腹診、触診など)

5 患者さんがいろいろ教えてくれること(漢方薬を飲んでどうなったか、を本人、保護者が熱心に語ってくれる、こうしたら良くなったとかも教えてくれる)

6 合えばすぐ効く!ということ

7 患者さんが余計な抗生剤を飲まなくてすむようになったこと

まだまだ漢方の道では、駆け出しですが前向きに考えて進みます。

 

睾丸が痛い

40代男性です。

左そけいヘルニアの手術後です。

手術は無事(?)終わったようですが、左の睾丸が痛いので困っていると相談を受けました。

外科には通院中ですが、特に何も言われず、薬も出ていないのです。

簡単な手術のはずですが、時間がかかった、左睾丸の外科操作を行った付近で出血が起こっているようなことを言われたと。

日に日に睾丸の痛みは軽くなりつつありますが、立ち上がったりする時に左睾丸痛が走ります。

「何かないですか?」と言われたので、「ありますよ」と言いました。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。

微小循環障がいを改善する漢方薬の代表選手です。

保険病名にも、「睾丸炎」と書いてあります。

「ほんとですね、書いてある」と患者さん。

どうせ飲むならパワーアップバージョンがいいよね、ということで桂枝茯苓丸加ヨクイニンを開始しました。

飲んで1週間以内に睾丸の痛みがサッと引いてしまいました(炎症が治まった)。

なかなか興味深い事件でした。

 

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麦門冬湯はおいしい

花粉症で声がカサカサになってしまった方がいます。

声が出ないんですーと。

夜はケンケンと咳が出ます。

そうなれば、麦門冬湯(ばくもんどうとう)です。

これは甘くて飲みやすい漢方薬です。

飲むとノドの奥のガサガサが軽くなります。

発作性の咳が止まります。

1日3回飲むことになっていますが、次の内服時間になる前に咳込めば3時間間隔で飲んでみましょう。

そうすると1日5回、6回飲むことになりますが、麻黄(まおう)などの胃に障る生薬が含まれていないので、まず大丈夫です。

ノドが痛いのも合併する時は、桔梗湯(ききょうとう)、桔梗石膏(ききょうせっこう)、甘草湯(かんぞうとう)から1つを追加します。

これらも甘いです。

例えば、麦門冬湯+桔梗石膏です。

1日3回食前と記載されますが、麦門冬湯だけ多めに飲んでもいいよということです。

桔梗石膏は、ノドが痛くなくなれば中止、後は適宜飲めば良いです。

これはぬるま湯で一旦うがいして、ノドの痛い部分に当てて20秒くらいしてから飲むか、ベーッと吐き出してもかまいません。

うがいしても効きます。

 

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メニエール病に漢方薬を

ストレスなどを契機に生じた内耳浮腫が原因でおこるめまいだとされています。

激しいめまいが数日続きます。

こうなると日常生活に支障が出ます。

耳閉感、耳鳴を伴うこともあります。

耳鼻科で利尿剤や抗めまい薬を処方されるも、なかなか症状が軽快しない方が多くおられるようです。

漢方薬では、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)があります。

これを1日3回、まず1週間お湯で飲んでもらいます。

内耳浮腫(内リンパ水腫)だけではめまいは生じない、内リンパ圧の急激な繁華、内耳血流の障がい、膜迷路の破裂、透過性の亢進などが関与するのでは、と推測されています。

また、メニエール病の患者さんの内リンパから高率に水痘帯状疱疹ウイルスとEBウイルスのDNAが高率に検出されている、前提神経節かた単純ヘルペスウイルスのDNAが検出されている、という事実からアシクロビル(抗ヘルペスウイルス薬)を経口投与すると88%に症状の改善があったそうです(Gacer PR)。

結果、メニエール病には、苓桂朮甘湯+抗ヘルペスウイルス薬の併用がいいようです。

めまい発作はメイロンの点滴でいきましょう。

苓桂朮甘湯を長期に服用すると、次第にめまい発作が起きなくなった方がおられます。

西洋薬でうまくいかない時に、苓桂朮甘湯を併用したらよいです。

 

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花粉症から咳が出る

この咳の原因はなんでしょうか?

くしゃみ、鼻水連発のお母さんが聞いてきます。

「花粉症からですかね」と言うと、「え?」と言われます。

「どうしたらいいんですか?」

「咳の様子に合わせて薬を出しますよ」

すでに抗アレルギー薬を飲んでいる方には、咳止めなどを出します。

鎮咳剤でも強引に止めにかかるなら、リンコデあたりでいかないと無理かなと。

気管支喘息に準じて吸入ステロイド薬を追加することもあります。

漢方薬で対応するなら、乾性咳嗽→麦門冬湯(ばくもんどうとう)、ダメなら柴陥湯(さいかんとう)、あとは、滋陰降火湯(じいんこうかとう)、湿性咳嗽→麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)、五虎湯(ごことう)などがあります。

今年は花粉症の症状がキツイ人が多いので、抗ア剤+漢方薬、あるいは咳止め+吸入ス剤のセットを一気に始めます。

1つ試して、次を試して、とやっていては、なかなか治りません。

まず一気に始めておいて、調子が良くなったら、飲む数を減らす方が、患者さんは楽そうです。

 

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突発性発疹症の時の機嫌の悪さに漢方薬を

生まれて初めての発は、突発性発疹症のことが多い、と昔から言われます。

3-4日間、38℃以上以上の熱が続き(上がり下がりもあります)、熱がストンと下がったら、カラダの中心(躯幹)に淡く紅色の発疹が出ます。

これが典型的な経過です。

熱が下がって発疹が出る頃から、お子さんがぐずることが多いでしょう。

熱が下がって機嫌が良くなると思いきや全然良くならない、夜も寝てくれないので、お母さんがヘトヘトになります。

病院に行っても、「もう大丈夫だから、様子見て」と言われます。

様子を見たって機嫌の悪さは治りません。

そこで甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)です。

これは、甘草と小麦と大棗(なつめの実)から構成された甘くて飲みやすい漢方薬です。

これを1日2回か3回で飲むと1週間以内、早いと数日で機嫌が良くなってきます。

普通漢方薬が苦手なお子さんでも飲めることが多いです。

試してみてください。

 

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